【SS】放課後ランプ

少年がランプを擦ると何かが現れた。

「このランプは放課後ランプです。擦ると放課後になります。勉強も仕事も精霊の私が代理します」

とても魅力的な提案に思えた。
面倒くさい勉強も、将来の面倒くさい仕事も全部丸投げして、自分は楽しい放課後だけ過ごせばいいなんて。

男は放課後ランプを使い続け、あっという間に60歳になった。
これからは毎日が放課後だ。

「定年延長しますよね?」

ランプの精はささやいた。
確かに十分な蓄えがあるわけではなかった。

そして、その男は働き続け、寿命を迎えた。


「今世紀の営業成績もランプの悪魔さんがトップです。おめでとうございます」

たくさんの悪魔たちが羨望のまなざしを向けるのは、放課後ランプの精霊と称した者だった。

「寿命を奪う契約を取るコツはなんですか?皆さんに教えてあげてください」

「それはね、人間達のコミュニケーションから学ぶことだよ。提案を魅力的に見せたまえ。彼等は、我々悪魔よりあくどいからとても参考になる」


お読み頂いありがとうございます。記事が役に立てばうれしいです。このエリアまで読んで頂いた方が、これまでもこれからも幸せでありますように。