【SS】信者ブラスバンド
ここは中世の某地域。
強大な軍事力で隣国を制圧する国家があった。
この国では国教が定められ、それは支配された地域にも適用された。
「騎士団長、隣国で不穏な動きが。」
「知っている。だが我が王は、民を殺すなと言う。」
「まず騎士団の絶対的な力を見せつけましょう。」
騎士団は隣国に駐在し、その勇ましい姿を見せつけた。
しばらくの間、かりそめの平穏が訪れた。
「騎士団長、また不満がくすぶっています。」
「今度はどうする?」
「パンとサーカスです。」
「パンはともかくサーカスは用意できぬ。」
「では、パンと酒を振る舞い、突撃のラッパを聞かせましょう。」
騎士団は劇場を貸し切って民衆にパンと酒を振る舞いラッパを聞かせた。
何度も死地を切り抜けたラッパである。すさまじい迫力の美しい音色は民衆を畏れさせ、また魅了した。
「団長は軍神として崇められていますね。」
「それは困る。国教に反する。金を取ることにしよう。」
「信者ブラスバンドで儲けるつもりですか。」
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