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『Achtung Baby』異端作にして、燦然と輝く最高傑作。

 このボノのボーカルはセクシーだが、力強さを手放していない。エッジのギターはサイケデリックで前衛的だが、めちゃくちゃフックがある。ラリーのドラムの鳴りの違いに意味が込められ、アダムは優雅なうねりを息吹く。
 彼らにとって、異端な作品が最高傑作になったのも、U2らしい。イーノの貢献も多大なのだろうが、このボノとエッジの輝きは燦然としたものである。ビル・グラハムは"Who's Gonna Ride Your Wild Horses"・"Ultra Violet“・"Acrobat"をそれ以前の方法論に依っているため、U2は正当化できないというようなことを述べていたが、このアルバムにとって、この3曲のような「それ以前の」体系が、筆者はこのアルバムをより人間的なものにしていると感じられる。それは機械的で人間的なこのアルバムにとって、とても大事な要素だと考えている。
 "One"は全てのカップルにとって希望の曲だが、「ひとつの人生。するべきことをするだけさ」というラインは、悩める者にとって、唯一の解決策を端的に提示していた。
  2020年代のU2を肯定できない長年の大ファンの筆者も、ラスベガスの巨大な公演に見るべきものがあってほしいと、まだ期待してしまう。酷いものでもいいが、そこに何らかのチャームがあることを願い、YOUTUBEのボタンを押すことになる。ラリー、あぁ、。   
 『Songs Of Surrender』は老衰が顕著な作品だが、煌めきの欠片が残っていたように、次なるアルバムにもチャームがあることを、U2フリークは期待するのである。

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