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『グラン・トリノ』血の繋がりとは異なる大きな友情

 イーストウッドの登場とともにビビる。スクリーンで観てきたどの彼よりも、怖い。ずっと怒ってる。上手く子どもたちとやってこれなかった。足りないものばかり。
 そんなとき隣に住んでいるモン族の家族と親しくなる。自然に国や世代を越えた友情が生まれる。イーストウッド演じるウォルト自身も変わっていく。その表現は一筋縄にはいかない。言葉遣いも表情も、観客から観てほとんど変わらないのだ。男は行動で示すべき、とイーストウッドは残りの生涯をもって、行動で彼らへの感謝とけじめを示す。その姿は感動的で、観るものにも涙が流れるなか行動を促す。
 グラン・トリノが走り去るなか、私の心も隔離部屋からストリートへ走り出していた。

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