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『地獄の黙示録』語りの明確さと映画表現の亡霊

 難解と一部で言われているが、カーツの詩情以外は、物語は明確である。ただベトナム戦争を実際に撮影したかのような、本作の撮影の悪魔性に息を呑む。それは戦争とは別次元に行く最終幕ではますますそうだ。
 プランドの怪演は語り継がられていて当然だろうが、シーンの繊細な演技は、この映画の芯の部分であり、幻惑めいた映画の中で、彼は現実性を残させている。
 カタルシスを避けるような淡々としたエンディングに至るまで、異教の地を旅するような、貴重な名画だ。

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