純資産 - 自己株式

自己株式については、資産として扱う考えと資本の控除として扱う考えがある。現行制度上は、自己株式を資本の控除そして扱うことが適切と考えられている。なお、自己株式を資産として扱う考えは、自己株式を取得したのみでは株式は失効しておらず、他の有価証券と同様に換金性のある会社財産とみられることを主な論拠とする。また、自己株式を資本の控除として扱う考えは、自己株式の取得は株式との間の資本取引であり、会社所有者に対する会社財産の払戻しの性格を有することを主な論拠とする。

自己株式を無償で取得した場合には、自己株式の数のみの増加として処理する。また、無償で取得した自己株式の数に重要性があり、かつ、連結株主資本等変動計算書又は個別株主変動計算書の注記事項として自己株式の種類及び株式数に関する事項を記載する場合には、その旨及び株式数を当該事項に併せて注記する。

払込資本に生じた毀損を留保利益で埋め合わせるのは、その期に完結する処理であり、そこで充当した留保利益を翌期以降の資本取引に基づく剰余金と入れ替えて元に戻すのは適切ではないと考えられる。そのため、自己株式処分差額をその他利益剰余金(繰越利益剰余金)から減額した期の翌期以後に自己株式処分差益が生じた場合に、自己株式処分差損をその他利益剰余金(繰越利益剰余金)から減額した範囲でその他利益剰余金(繰越利益剰余金)を増額することは認められていない。

自己株式の取得については、対価が金銭の場合は支払うべき日に認識し、対価が金銭以外の場合は対価が引き渡された日に認識する。また、募集株式の発行等の手続きによる自己株式の処分については、対価の払込期日に認識する。


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