ライブラリーの本が素敵な本当の理由は?
2022年4月にスタートしたLibrary Lounge Talkの第2回が5月11日に開催されました。スピーカーはライブラリーのアドヴァイザーの小林麻実でした。
テーマは、“コミュニティ”という六本木ヒルズライブラリーの設立目的と“本”についてでした。
2003年の設立当初のディレクターズメモで小林は、「ライブラリーは、『組織を離れて自律した個人が、知識や情報を交換する場』です。<中略> 一冊の本を読んで情報を得るのと同様に、他の人からの情報を得ることもとても大切だと思っています。」と述べています。
(詳細は、ディレクターズメモ【ライブラリー・ディレクター 小林麻実(2003年4月25日)】をお読みください。)
「本を読む」という動作は一人で行うことですが、「コミュニティ・交流」の活動は複数人で行うことで、対局的な存在です。
しかし、「知識や情報を得る活動」という視点で見ると、この二つの活動は繋がってきます。
そして、「どんな本を読むのか」も大切です。
現在、六本木ヒルズライブラリーは約12,000冊、アークヒルズライブラリーは約2,000冊の書籍が配架されています。
毎月、小林が200~300冊程度の本を選書をしています。選書の基準は「今読むべき本」という視点です。それは、小林の「過去の知識を次世代に伝え、隣人の知識を共有する機関としてこそ、図書館は存在すべきなのではないか」という考えの表れです。
そして、本の配架にも様々な工夫がされています。
例えば、NDC法(日本分類十進法)による分類ではなく、様々なジャンルに分けて配架をしています。そのジャンルも一定ではなく、社会の動きに合わせて変化しています。
本自体も定期的に移動しています。
それらは、「本を探す」のではなく「本に出逢う」環境を創るためです。
究極は、ライブラリーの蔵書システムで検索した場合でも「柱番号」しか表示をしていません。そのために少なくともワンスパン分の本から目的の本を探す苦労が残っています。きっとその苦労の先に、思いがけない出逢いがあると思っています!
そして一番大切なことは、毎日毎日、多くのメンバーが実際に触ってくれているからだと思っています。気になる本を手に取ってくれている、その日々の積み重ねで本、書棚が素敵になっているのだと思います。
私のイメージは、「使い込めば使い込むほどに味がでる革製品」です。
それは、昨日・今日では出来上がらず、メンバーが日々「本を手にする」ことによって出来上がるものです。
これは新品を置いている本屋さんではなく、時々埃を被っている本がある古本屋さんでもなく、NDC法によって分類されている(いつも同じ本が同じ場所にある)図書館でもなく、アカデミーヒルズのライブラリーの本の魅力だと思っています。
小林は「メンバーが今読むべき本」とは何かを考えながら1冊、1冊丁寧に選書してくれています。
そして、メンバーが館内を歩きながら、気になった本を手に取ってくれている。その相乗効果によって、本に輝きが出てきていると思います
そんな事を思って館内を歩いてみてください。
きっと、素敵な1冊に出逢えると思います。
アカデミーヒルズ 熊田ふみ子
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