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未来を自分でつくる! -デザイン思考を応用する-

GW明けに1冊の本『15歳からの人生戦略』が出版社より届きました。4月に出版されたばかりの本です。

著者の山脇秀樹さんは、2000年から米国にあるピーター・F・ドラッカー経営大学院(ドラッカースクール)で教鞭を取られています。2009年~2012年の期間は学長を務められていました。その時期にご縁があり、2012年にアカデミーヒルズでデザイン思考についての講座をしていただいて以来のお付き合いです。
デザイン思考が日本で一般的になるずっと前のことです(Google Trendsで検索してみたら、日本ではデザイン思考という言葉の検索数が2017年頃から増えていました)。
私自身、デザイン思考という考え方を山脇先生から学びました。

そのために、私にとっては「山脇先生=デザイン思考」という印象だったので、この本をタイトルを見たときは、正直、違和感がありました。
しかし本を読み進めると、この本の根底にはデザイン思考があることに気付きました。
山脇先生は現在、ドラッカースクールで「未来をつくる(Create the Future)」「デザイン思考(Design Thinking)」の2つの講座を教えておられ、この2つは補完的な立ち位置にあると言われています。
例えば、「未来をつくる」ためには、以下のような5つのマインドセットが重要だそうですが、これらは「デザイン思考」においても強調されている点です。

  • 従来の枠組みを崩す(refraiming):従来の常識あるいは仮定を疑い、機能不全、思考停止に陥っている思い込み・見解を覆すことです。

  • 好奇心を旺盛にする(curiosity):既に起きている変化を見つけ、そこから洞察を導くことが大切です。そこで変化に気付くために必要なのが好奇心です。どんなに些細なことにも好奇心を持つことです。

  • プロセスからアイデアを生む(process):アイデアはふと思い付くこともありますが、プロセスを通じてアイデアをつくることが推奨されます。試行錯誤と失敗を恐れない心構えが大切です。

  • 共感を生む(empathy):取り組む課題には、たった1つの正解ではなく複数の解を導くことができます。その中で共感を引き起こし、感動を生むことができる解が重要です。

  • 立ち上がって行動する(action):本を読んだだけでは未来はつくれません。行動を起こす(実際に作業をしてみる)ことが重要です。

次に山脇先生は、未来をつくる自分を加えて、未来を自分でつくるに発展されたのだと思います。以下は著書からの引用です。

この本では、「自分」と「未来」を独立したものとして考えるのではなく、「自分がエネルギーをたくさん感じ、自分が愛着心や情熱をもって行える活動を知り」、それから課題、テーマ、問題意識を探索し、「自分の未来をつくる」ことが書いてあります。

『15歳からの人生戦略』p. 003より引用

そういう意味では、山脇先生の思考は、「デザイン思考」に始まり「未来をつくる」へ広がり、「自分を知る」を加えて「自分の未来をつくる」という道筋で、この著書に繋がっているものだと分かりました。
この本にも「芯が通っている」ことが大切と述べられていますが、山脇先生の思考そのものが「芯を持って広がっている」ことが分かり、まさにデザイン思考を実践されているのだと思います。

そして、著書の「おわりに」の章では、以下のような記載を見つけました。

本書で紹介した枠組みの一部は、2016年から2019年にかけて東京のアカデミーヒルズで開催したヒルズ・イグニッション・プログラム(HIP)で応用する機会をもつことができました。

『15歳からの人生戦略』p. 238より引用

私はこのHIP schoolに携わっていたので、山脇先生のデザイン思考の一助になれたと思うと、うれしい限りです。

ピーター・ドラッカーは、「未来を予測するための一番良い方法は、未来を自分でつくることだ」と述べていたそうです。
山脇先生も著書の「はじめに」の章で、「未来と将来について考える(think)ことはとても大切です。その一方で、考えをめぐらせるだけではなく、実際に未来をつくって(create, design)みるのはどうでしょうか」と問いかけていらっしゃいます。
先が読めない今だからこそ、「未来を自分でつくる!」という発想が必要かもしれません。

アカデミーヒルズ 熊田ふみ子

#アカデミーヒルズ #HIP #山脇秀樹 #15歳からの人生戦略  # デザイン思考

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