【開催レポート】 academist Prize 第3期 FINAL「若手研究者を投票で応援!-100万円配分ピッチコンテスト」
こんにちは!アカデミストの片田です。
今回はacademist Prize 第3期 FINALを彩った、『若手研究者を投票で応援!-100万円配分ピッチコンテスト』開催レポートをお届けします!
台風により天気が不安定な中ではありましたが、ハイブリッドイベントにより柔軟な形での開催となり、多数の参加者によるファイナルにふさわしい盛り上がりになりました。
今回表彰されたのは「アカデミスト賞」、「日本の研究.com賞」、「ビットマイスター賞」、「エマージングテクノロジーズ賞」の4つです。
アカデミスト賞はQuadratic Fundingの枠組みで行われるため、当日の投票に加えてFINALまでの応援者数により賞金が配分されます。
academist Prize 第3期のテーマは「AI×〇〇学で未来をつくる」です。1年を通してテーマへの取り組みはさらに深まり、またピッチのスキルもそれぞれ向上する中で、先の読めない非常に興味深いイベントとなりました。
ショートピッチ
ピッチでは研究者一人ひとりが今期のテーマについて語りました。それぞれがアウトリーチの方法を1年を通して洗練させており、表彰を目指し自分自身の取り組みについて熱く語るFINALにふさわしいピッチとなりました!
菅原さんは、AIを用いた新たな可能性を提案した研究者の一人です。彼は北一輝研究を通じて、AIと歴史学の融合による新しい視点を提示しました。
この1年間で取り組んできたのは、実践的な研究と組み合わせ、AIに「表現」の部分を担わせる試みです。その試みは、AIによって複数の視点から史料がさまざまな人々に触れる機会を増やす可能性を示唆しています。
さらに、このアプローチは菅原さん自身の研究への情熱と深く結びついており、1年を通して彼の発表はますます洗練され、その熱意は会場に確かに伝わるものでした。
大道さんは、ロボットに関する研究を通じて、AIを活用した「居場所」となりうるロボットの提案を1年間試みてきました。
大道さんは、ロボットが居場所となるための重要な要素として「バックストーリーの共有」を挙げています。
また、工学的なアプローチにとどまらず、居場所として感じられる空間についても深く考察し、1年を通じてそのビジョンはより説得力を増し、多くの人に共感を呼んだのではないでしょうか。この取り組みは、研究者だけでなく、誰しもにとってAIとともにある新たな形を期待させるものでした。
櫃割さんのピッチは「AIとともに歩く心理学の道は続く」というテーマで、心理学尺度を調査する手法において、自由記述解答をAIで解析する方法を提示しました。
AI×心理学の研究はScientific Reports誌にも掲載され、この1年のチャレンジで大きな進展を見せた研究のひとつです。
櫃割さんのユニークな点は、その研究手法の提示にとどまらず、AIを通じて多くの人と共に研究を進めていくビジョンを示したところです。近い将来、研究が多くの人々の関わりによって形作られていくという未来の到来を感じさせるものでした。
梅谷さんのピッチは、社会規範の視点から、AIとの共存がもたらす可能性を鋭く捉えた内容が印象的でした。
相互協力社会において不可欠な人間の社会規範と、AIに対する人々の期待する規範を提示しつつ、AIが引き起こす可能性のある破壊的な影響にも言及されました。
彼は、自身の研究成果として、AIに関する規範を探求した成果を紹介し、その考察が着実に深化していることを実感させるピッチとなりました。この、Prizeの期間の中で実際に発見が進むライブ感は、未知を追求する研究者の発表ならではのものと言えるでしょう。
待井 長敏さん
待井さんは今回のacademist Prizeを通じて、研究者間の異分野交流にAIを活用するアイデアを進化させてきました。
今回のピッチでは、さらに進展した実践的な取り組みと、今後の展望が語られ、まさにPrizeの締めくくりにふさわしい内容となりました。
プロジェクトの中で異分野対話ラジオを実施し、研究を形にし続けている待井さんの行動力も特に印象的でした。今後もこの取り組みがさらに広がっていくことが期待されます。
白砂さんは、認知科学を通じたAIの取り組みで、1年間一貫して「Artificial Intelligenceの時代だからこそ、Human Intelligenceの理解を深める必要がある」と強調してきました。
クイズプレイヤーとしてのユニークな経歴を持つ彼だからこそ、人間の思考や判断に関する深い洞察が示されました。
一見するとAIとは異なる分野に見える人間理解のアプローチが、いかに多様な分野に影響を及ぼす可能性を秘めているかを示した彼のピッチは、非常に説得力があり、その重要性と期待を会場の誰もが認めるものでした。
石崎さんは研究の自動化に取り組んでおり、特に自動化のニーズが強い材料科学の分野に身を置いているからこそ、その重要性を論理的にピッチされていた点が印象的でした。
研究の自動遂行というテーマは、研究者にとって非常に興味深いものであり、今回も研究の難しさを深く理解している石崎さんならではのピッチが注目を集めました。
装置の自動制御に成功したという確かな進捗も報告され、1年間のacademist Prizeの中でも期待が高まる発表となりました。
パネルディスカション
ピッチに続いて行われたパネルディスカッションでは、一橋大学教授の七丈直弘さん、株式会社バイオインパクト代表取締役の杉原淳一さんをお迎えし、アカデミストの柴藤も加わって「ポストAI時代の歩き方」というテーマで活発な議論が展開されました。
「ポストAI」というテーマにおいて、ポストAIは遠い未来の話ではなく、現在進行形で私たちが取り組んでいる現実であることを、参加者の皆さんも実感されたのではないでしょうか。
今回のピッチを通じても、AIが関わる研究を面白くするのは、他でもない研究者自身であることが強く感じられたと思います。今回のチャレンジャーのような研究者たち、さらには研究者を超えた多くのステークホルダーが、リアルな交流を介して柔軟に関わり合う必要があり、そのためには従来の大学などの枠組みを超えた新たな交流の場が求められることが想像されました。
情報の多様性を尊重しながら共に進んでいく「歩き方」の可能性が、このパネルディスカッションを通じて感じられたのではないでしょうか。
表彰式
今回の表彰は、企業賞である「日本の研究.com賞」、「ビットマイスター賞」、「エマージングテクノロジーズ賞」の3つ、そしてこれまでの支援者と投票によって配分が決まる「アカデミスト賞」を含む合計4つの賞が贈られました。
研究者全員のピッチレベルが非常に高く、結果の行方が最後まで分からない緊張感あふれる結果発表となりました。
まず、「日本の研究.com賞」を受賞したのは梅谷さんです!その独自性のある視点と研究の深さが評価され、納得の受賞となりました。
続いて「ビットマイスター賞」を受賞したのは石崎さんです!彼の研究ビジョンに対する期待と共感が反映された受賞であり、一貫して取り組みを続けてきた成果と言えるでしょう。
そして、「エマージングテクノロジーズ賞」を受賞したのは白砂さんでした!その取り組みの可能性が高く評価され、会場全体が白砂さんの受賞を祝福しました。
最後に、academist Prizeを締めくくる「アカデミスト賞」を受賞したのは櫃割さんです!現地での投票に加え、87名もの応援者が集まったことが大きな要因となり、まさに1年間の取り組みが結実した受賞となりました。多くの参加者と共に、櫃割さんが目指すビジョンに向かって突き進むことが期待されます。
閉会式
閉会式では、academist Prize第3期の1年を振り返る総括が、アカデミスト代表の柴藤により行われました。
そのなかで、academist Prizeの成功とは、研究者が自ら旗を立て、協働することにあると述べられました。第3期を通じて、そして今回のイベントを振り返ると、研究者たちと、それに協働する多くの参加者や応援者が一体となって生まれた盛り上がりとプロジェクトだったことを強く感じました。
1年を通じて、Prizeの場だからこそ生まれるさまざまな可能性が、今回のファイナルでさまざまな形で実を結びました。今後も、academist Prize 第3期生たちの活躍から目が離せません。
懇親会では、参加者と登壇者が垣根なく交流し、まさしく「旗を立てる」皆さんが集う意義深い場となりました。こうした広がりがPrizeを中心に今後も社会へ広がっていくことに期待が高まります。
さらに、今回の最後にはacademist Prize 第4期が発表されました。次回のテーマは「1000 True Fans」。プロジェクトの開始は9/3 8:00〜!今回とはまた異なる興味深い内容が展開されることでしょう。ぜひこちらにもご注目ください!
academist Prize 第3期は今回のFINALをもって締めとなります。しかし、その全員がすでにこれからを見つめ、このチャレンジの中で取り組んだ研究をさらに前に進めようとしています。ぜひ今後とも応援、よろしくお願いします!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?