アプリマーケの入門編 ~トラッキング方法~

こんにちわ!最近アプリのマーケティング方法について勉強中の橋場です。

アプリはどこからインストールをしたかを計測するには、一度ストアを経由するため集計が非常に難しいです。アプリの流入元の判別は、メディアやOS、計測ツールによって手法が異なります。そのため複数の手法を使い集計を行います。

~記事を読む前に単語のおさらい~

トラッキング
└インターネット上でのユーザーの行動を記録すること

リダイレクト
└あるURLに接続したら、強制的に他のページに繊維させること

キュレーションサービス
└「NAVERまとめ」や「note」など、特定のテーマに沿って人手を集め、新たな価値を生み出しているサービス

UI/UX
└キーボードやwebサイトなど、ユーザーインターフェースを通じて感じるユーザー体験のこと

Cookieシンク
└Webサイト訪問やバナーインプレッション時に、そのユーザーに対して発行されたCookieを、別のドメインで発行したCookieに紐づけ、CookieIDを統合・マッピングする技術

リファラ
└アクセスログに記録されるデータの一つで、ユーザーがサイトに流入する時に利用したリンク元のページの情報です

SDK(ソフトウェア開発キット)
└特定のソフトウェアを開発する際に必要なツールのセットで、ソフトウェアを開発するのに必要なもの


リダイレクトと、非リダイレクト

アプリのトラッキング手法は大きく分けてリダイレクト型と非リダイレクト型に2分類されます。

1.リダイレクト型

メディアからストアに遷移する際に、計測ツールのリダイレクトを挟む

リダイレクト型はその名の通り、リダイレクトする際に計測を行います。長所はリダイレクトするためどんな端末でも測定可能です。短所はアプリ起動時にブラウザ起動を挟むため、UI/UXがやや悪いです。


2.非リダイレクト型

メディアからストアに遷移する際に、計測ツールのリダイレクトを挟まない

非ダイレクト型はアプリストアまでスムーズに遷移できる長所があります。短所は、広告IDが利用不可能な端末だった場合計測することが不可能です。


リダイレクト型&非リダイレクト型含を、さらに細かく細分化すると全部で6つの手法があります。

リダイレクト型
1. Cookieを利用した手法
2. 端末類推技術を利用した手法(フィンガープリンティング)
3. Androidリファラを利用した手法
4. 広告IDを利用した手法
非リダイレクト型
5. クリックデータを送信する手法
6. メディアに依存した手法

これらの6つの計測手法について説明します。


1. Cookieを利用した手法

リダイレクトをする時に、ユーザーが使ってる媒体(iPhone、Androidなど)の標準ブラウザにクリック情報が書き込みます。そしてアプリのインストール後に、アプリが起動されたタイミングで標準ブラウザを立ち上げます。そうするとクリックに情報とインストール情報を紐づけることができるのです。

(最近ではインストール後に起動したタイミングにSafariとCookieシンクできる「SFSafariViewController」を標準ブラウザの代わりに立ち上げる事も。)

長所
・クリックからの期間を長い間、制度高く測定可能。

短所
・計測サーバーへのリダイレクトが発生するため、アプリ起動時にブラウザが起動する
・標準ブラウザ経由しかインストール測定できない
・Appleからのリジェクト(アプリケーションストアの審査が通らない)のリスクが高い

測定条件
・標準ブラウザを経由する

計測漏れのケース
・Twitterなど、アプリ内ブラウザ経由でストアに遷移した場合
・キュレーションメディア(例:NAVERまとめ)のアプリ内ブラウザ経由のインストール
・リダイレクト時のブラウザと、インストール後起動時のブラウザが一致しない場合
・Androidでリダイレクト後に選択するブラウザと、インストール後に選択するブラウザが違う場合
・iOSで、Safari以外のブラウザで広告をクリックした場合(iOSは標準ブラウザがSafariのみのため)
・Cookieに書き込みができなかった場合


2. 端末類推技術を利用した手法(フィンガープリンティング)

フィンガープリンティングとは、スマホなどの端末を「個体識別番号」や「クッキー」、「利用者の個人情報」以外から推定する手法です。リダイレクトした時に取得する端末情報と、インストール後起動した時に取得する端末情報を比較して、同一端末であると類推します。その際はIPyaデバイス種別などの情報を手がかりに比較するのです。ただし、時間がたつと精度が下がる傾向があります。(7時間以内に計測するのであれば、精度が高い情報を得られる)

iOSにて広告IDを取得することができないメディアでも、Appleのリジェクトリスクなく計測できる唯一の手法であるため、iOSでは最もメジャーなトラッキング手法です。

長所
・測定条件がなく、どんな環境でもリダイレクトできる

短所
・計測サーバーへのリダイレクトが発生する
・計測の精度が低い
・長時間の測定に不向き

測定条件
・特になし

計測漏れのケース
・リダイレクト時の端末状態と、インストール後起動時の端末状態が大きく変化した場合
・接続しているネットワークが変わった場合。
・OSがアップデートされた場合


3. Androidリファラを利用した手法

リファラとは、ユーザーが流入する時に利用したリンク元のページ情報です。Google Play経由のインストールでは、Google Playに遷移させる時に付くリファラ情報を、インストールされたアプリが取得することができます。このリファラ情報を用いて流入元を特定します。

Androidに限られますが、精度が高く、OSが推奨する計測手法であるため、Androidにおいて最もメジャーなトラッキング手法となっています。

長所
・測定の精度が高い

短所
・計測サーバーへのリダイレクトが発生する
・OSがAndroidのみ

測定条件
・OSがAndroid
・Google Play経由のインストールのみ

計測漏れのケース
・ごく稀にAndroidリファラの取得に失敗する


4.広告IDを利用した手法

メディア側で広告IDが取得可能な場合、リダイレクトする時に計測サーバーへ広告IDを送信し、インストール後のアプリ起動時にSDK(ソフトウェア開発キット)から取得した広告IDと比較して、同一端末であると特定する手法です。(主にリターゲティング時に用いられることが多い)

iOSでは「IDFA」、Androidでは「Google Play Advertisement ID」という広告IDがあります。広告IDはCookie同様に、ユーザーがリセット可能です。また広告IDの取得はWebからは取得できないため、Webとアプリの情報を紐付けることができません。そして困ったことに、ユーザーは広告IDの利用を制限することもできます。

長所
・測定の精度が高い

短所
・計測サーバーへのリダイレクトが発生する
・メディアから広告IDを送信してもらう必要がある

測定条件
・メディアが広告IDをリダイレクトのパラメータに付与して送信可能であること
・広告IDが利用可能な端末であること

計測漏れのケース
・リダイレクト時とインストール起動時に、たまたま広告IDが変更された場合(ごく稀)
・広告IDが利用不可能な端末だった場合


5.クリックデータを送信する手法

広告IDを利用した手法に似ていますが、広告IDの受け渡し方が「リダイレクト時にパラメータで渡す」か、「リダイレクトとは別にパケット通信するか」で異なります。リダイレクトが発生せず、アプリストアまでスムーズに遷移できるため、アプリ面で広告を持つメディアに好まれることが多いです。

長所
・測定の精度が高い
・アプリストアまでの遷移がスムーズ

短所
・メディアから広告IDを送信してもらう必要がある。

測定条件
・メディアが広告IDをパケット送信可能であること。
・広告IDが利用可能な端末であること

計測漏れのケース
・リダイレクト時とインストール起動時に、たまたま広告IDが変更された場合(ごく稀)
・広告IDが利用不可能な端末だった場合


6.メディアに依存した手法

この手法はメディアが「Facebook」「Twitter」「Google」である場合のみ発生します。この手法を利用するためには、各メディアに対してパートナー(協力体制)になる必要があります。

計測サーバーは、すべてのインストール情報をメディアに提供します。メディアはメディア経由のインストール情報を特定して、計測サーバーに伝えます。計測サーバーはメディアから受け取った情報と、自社で持つ情報を比較し、流入元を特定します。

長所
・測定の精度が高い
・アプリストアまでの遷移がスムーズ

短所
・メディアにすべてのインストール情報を提供しなければならない
・インストールに紐付かないクリック情報を取得できない場合がある

測定条件
・メディアに対してパートナーとなる必要がある

計測漏れのケース
・リダイレクト時とインストール起動時に、たまたま広告IDが変更された場合(ごく稀)
・広告IDが利用不可能な端末だった場合


その他、メディアSDKを利用する手法

上記で紹介した6つの手法以外にも、メディアSDKを利用して流入元を特定する方法があります。メディアがSDKを提供していて、そのSDKが「外部から流入元情報を参照する機能」を持っている場合のみ利用可能です。

主にFacebookの公式パートナー(MMP)になることができなかった計測ツールが利用する手法です。計測SDKはメディアSDKから流入元情報を取得して、計測サーバーに送信することで、計測サーバーは流入元の特定をすることができます。

長所
・測定の精度が高い
・メディアのパートナーでなくても、測定可能

短所
・メディアのSDKを導入する必要がある
・クリック情報を取得することができないことが多い

測定条件
・メディアがSDKを提供しており、流入元情報を外部から参照可能であること

計測漏れのケース
・リダイレクト時とインストール起動時に、たまたま広告IDが変更された場合(ごく稀)
・広告IDが利用不可能な端末だった場合


すべてのトラッキング手法をアプリディベロッパーが実装することはほぼ不可能です。そのために、トラッキングを専門とするSDKを用いることをおすすめします。以下トラッキングを専門とする代表的なSDKを紹介します。

▼海外製
adjust
AppsFlyer
Apsaler
Kochava
Tune
Adbrix

▼国内製
Party Track
F.O.X


まとめ

最後に、アプリのマーケティングでは下記3つのことが大事だと思われます。

・最新のマーケティング手法や、アプリトレンドを把握すること。
・適切なトラッキング専用ツールを選択すること。
・トラッキング専用ツールと上手に付き合うこと。

各トラッキング手法の特徴を知った上で、計測したいケースに合わせて最適な手法を選択することが大切になります。

以上、アプリマーケの入門編 ~トラッキング方法~でした。

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