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1 空母謹慎中につき

「†前衛空母会(ヴァンガードキャリアーズ)†に、ご招待です!」

小声でも、重巡洋艦ヨークさんとわかった。
手書きのメモが戸の隙間からすべりこんでくる。

私、ハーミーズ。
ロイヤル海軍のデュエリスト、こと、軽空母。
いまアーク・ロイヤルの部屋でタンスに隠れてる。

ヨークさんの足音が去ってから、出してもらった。

「さて、どうするの? 相棒」
「どうしたものかな。戦友殿」

この早世の従妹、ドアに外から補助錠をかけられて、『面会謝絶(用向きはベルファストまで)』って貼り紙をされているんだ。通信もつながらなくて、窓から忍び込んだわけ。

「そもそも、なにがどうしてこうなったの?」
「実は、エンタープライズさんと百合疑惑が浮上して」
「ふぅん……」

そういえば、デュエル仲間が噂していたな。ペガサスもセントーもイーグルも、ぜんぜん真に受けてなかった。この子の性癖は"駆逐艦"って、先刻承知だ。

「気にせず出席したらどうだ? それとも疑惑は真実とでも?」
「まさか。エン姉さんとはコーヒーとケーキをご一緒しただけだ」
「"エン姉さん"?」
「あ……」

突っ込まれて言葉を切った、青い瞳がにわかに灰色味を増す。

「それで、メイド長が、警戒していてな」

噂をすれば影がさす。
ドアの外から「失礼致します」と声、そして補助錠がガチャリと鳴った。


つづく

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