7最終話 CV-4 Ranger Regrets
ごめんなさいね、ぶったぎって終わるわ……
ここまでのあらすじ
わがユニオンの英雄エンタープライズ君に理不尽な熱愛報道が!……で、アーク・ロイヤル君がまさかの相手方。なりゆきで、私レンジャーが二人をのぞきみたのが5話め、6話めだけど、やっぱり何もやらしく無かったわよ、もう!
彼女たちは約束を守った。声明文が出されてまもなく熱愛報道は消え失せて、今度はエンタープライズ君から「あの人に会いたい!」って詰め寄られちゃった。
でも、最近ロイヤルの二隻はちっとも"空母会"に来ないの。陣営当局に問い合わせてみたけど「お答えできません」の一点張り。きっとハーミーズ君は巻き添えね。まさか、あのとき口を滑らした"規制"にかかって……?
「ここは自由の国」だっけ。
イラストリアス君も、そう考えていたのかしら。
最後にエンタープライズ君の告白を書き起こして、あとは、見ざる言わざる聞かざるにしますわ。
***
『仲良くなっては、いけなかったのか?
一ヶ月たつころ騒ぎは終息した。礼を言いたいのに、ロイヤル側は彼女の居所について口を閉ざしている。
艦船通信でも、駆逐艦の話と時候の挨拶しかないし、小さいベルちゃんと一緒の写真記事も、実は別撮りだ。無愛想なメイドさんがカメラを持ってきた。「アーク・ロイヤルの名誉のために」と……断れるわけがない。
あの時を最後に"エン姉さん"と呼ばれてない。
遠回しに釘を刺されてるんだな――天の星――か。
「本物のロイヤルレディだよ」
姉さんだけに、そう話した。
「寂しそうね」と返されたけど、もう違う。
大切な友になったかもしれない関係は、すでに傷つき、失われた。
大局を見誤ったせいだ。"非公式"に徹するべきだった。今ごろ気づいても遅すぎる。
いつから自由に友達も作れなくなったんだろうか。そもそも自由って何なんだ。
噂では、彼女のために純白のウェディングドレスが縫われているという』
ユニオンの星 終
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?