4 Innocent Little D's
「でたな、ヘンタイ!」
「せっけんていさいをくらえー」
あれは、ユニオンの駆逐艦たちか。
ちょうど学園の敷地に入ったところで、いたいけない声にそぐわぬ鋭い投擲。かざした腕をかすめて眉間に直撃くらった。
「何よ、このっ!」
「待って戦友殿」
発艦しかけたフェアリーシールを押さえられているあいだに路地へと散っていく、ちらちら振り向きながらの後ろ姿は、瞬く間に校舎の谷間へと消えていった。
「離せ! なんで止めた?」
「いいよ、覚悟はしてたんだ。……かゎぃぃ」
「聞こえたぞ」
声うら返ってるし、薄笑いでヨダレをたらしそうだし。
「シャキッとしなさい!その顔やめ!」
「あ……あの子達に罪はないよ。苦情は、こちらに言えばいい」
指差すのは、襲撃者の落としていった雑誌。
"キュートなCクラス🖤現役アイドルが激白! ロイヤルの変態はここまでヤバイ!!"って……
ずいぶん前、シグニットちゃんの衣服が根こそぎ持っていかれた事件のことかな。昨日の日付で載っている。
「これをみたら、当然だろう。素直な子なら尚更だ」
「まって、その理屈はちょっと」
いそいそと雑誌を拾い上げて、写真から埃を払ってる。『水着姿で困惑するシグニットちゃん』……。
しれっと格納庫に仕舞うなよ。
「引用は事件のはじめだけだ。嘘とも言いきれない……」
「いやいや。そんなの、結末を知らないと騙されてしまうよ」
「そうだな、あの子たちは騙されてるだけ。もともと、私がいけないから」
「よせって!」
思わずさえぎってしまった。
「あなたに落ち度があったとしても、譲っちゃいけない一線がある!」
「駆逐艦……」
「お黙り」
ここは、仲間として、言わせてもらいたい!
つづく
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