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野鳥たちの子育てもいろいろ|油山福岡*野鳥ブログ⑦

皆様こんにちは。日々お疲れ様です。
学校、職場、家の外
今日はどんな鳥さんに会えましたか?

ただいま森は絶賛繁殖期。
といっても初期のにぎやかな感じというよりは、じっくり子育て期に入ったなといった印象です。

鳥たちの子育てって、、、巣を作って、卵を産んで、温めて、餌を運んで・・・何となくイメージはつくものの、ちゃんと知ってるかというと、全く知らないことばかり!

たとえば!鳥たち全般に言えることだと

『鳥たちは1日1個ずつ卵を産んで、全部産み終わってから温めはじめる!』

そんなの知ってるって??
ではこちら

『鳥たちはワンシーズン(春夏の数か月)に2~3回繁殖することが多い!』

ん?これまた余裕で知ってる?
そしたらこれはどうでしょう↓↓

『鳥のヒナは飛べるようになってから巣立ちするのではなくて、飛べないうちから巣立ちしちゃう!そんな巣立ちヒナはまだ飛べないので割と地面にいることも多い!』

(親はヒナがちゃんと飛べるようになって独り立ちするまで餌を運びつつ、周囲で見守っています)

こっそりお伝えしますが、私は自然観察センターで働き始めるまでどれも知りませんでした。皆さんの中にもへぇーってなった方、きっといますよね!ね!!

ということで、今回は知ってるようで知らない野鳥たちの子育て模様をちょこっと深堀りしてお届けしたいと思います。

①メジロの場合(留鳥・一夫一妻タイプ)

【巣作り】オスとメスが共同で作ります。
【卵】3~4個
【抱  卵】オスとメスが交代で温めます。
【孵  化】約11日でヒナ誕生!
【ヒナのお世話】オスとメスが協力して餌を運びます
【巣立ち】孵化後、10日~12日で巣立ちます。その後、巣立ちから2~3週間で独り立ちします。

とても仲がよいというメジロの夫婦。メスのワンオペで巣作りや抱卵をする種が多い中、メジロはすべて共同作業です。

②キビタキの場合(夏鳥・一夫一妻タイプ)

【巣作り】メスだけで作ります。
【卵】3~6個
【抱  卵】メスだけで温めます。
【孵  化】10 ~13日でヒナ誕生!
【ヒナのお世話】オスとメスが協力して餌を運びます。
【巣立ち】孵化後、10~16日で巣立ちます。

越冬地から最初にオスが渡ってきて、縄張りを決めます。その後、少し遅れてメスが到着します。
オスも抱卵を手伝えばいいのに!と思っちゃいそうになりますが、オスはオスで巣の周りでさえずって縄張りを見張るというミッションを遂行してます。
(左メス・右オス)


③エナガの場合(留鳥・一夫一妻だけど子育てヘルパーもいるタイプ)

【巣作り】オスとメスが共同で作ります。
【卵】7~11個
【抱  卵】メスだけで温めますが、夜はオスも巣に入って眠るそうです。
【孵  化】約14日でヒナ誕生!
【ヒナのお世話】オスとメスが協力して餌を運びます。さらにここからお手伝いさんが登場!なんと独身オスがヒナへの給餌を手伝う「ヘルパー」行動をとります。ヘルパーは1羽だったり2羽のこともあるそうです。       
【巣立ち】孵化後、16日ほどで巣立ちます。

子育て人員が一番手厚いのはエナガかもしれません。
ちなみにヒナへのエサ運びをお手伝いしてくれるヘルパーさんは繁殖に失敗したオスだといわれています。産卵の数が他の鳥より多いエナガ、お手伝いさんがいても大忙しかもしれませんね。

④ウグイスの場合(留鳥・一夫多妻タイプ)

【巣作り】メスだけで作ります。
【卵】4~6個
【抱  卵】メスだけで温めます。
【孵  化】15日ほどでヒナ誕生!
【餌運び】メスだけで頑張ります。
【巣立ち】孵化後、13日ほどで巣立ちます。

オスが大きな声でさえずり主張する縄張りにメスが入ってきて、つがいとなります。一夫多妻なので、1羽のオスの縄張りの中に複数のメスの巣がある場合が多いそうです。

オスは縄張りに入ってきたメスと次々につがいになる為、子育てはすべて完全にメスのワンオペとなります。人間界だったら大炎上しそうですね。

ただ、これはウグイスが「托卵(たくらん)」をされる種であるということ、巣を低い位置に作ることが多いのでヘビなどの天敵に襲われやすいという生存競争の厳しさが関係しているのかもしれません。
※「托卵(たくらん)」・・・鳥が他種の鳥の巣に産卵して、仮親に卵を抱かせひなを育てさせる習性。カッコウやホトトギスが有名。

最後に

さて今回は4種の鳥たちの子育て事情をご紹介しました。
巣立ちまでが2週間前後かかるのはおおむね共通していましたが、オスとメスの役割分担などはそれぞれ大きく異なっていました。
今回は触れませんでしたが、巣の形も素材も皆それぞれ。本当に多様です。

そんな背景を知ったうえで観察すると、いつものバードウォッチングがより深いものになるなぁと今回改めて思いました。

園内ではイモムシをくわえて忙しそうな親鳥や飛べるようになり始めた幼鳥の姿もちらほら。連れ添う親子の様子も見かけます。
巣立ったばかりの幼鳥はあどけなく、心配になるくらい無防備です。

気をつけて!大きくなれよー!
パパママがんばってー!
と願いながらの観察は今ならでは。
みんなで鳥たちの子育てをそっと見守っていければと思います。



参考文献:
「鳥のくらし図鑑 身近な野鳥の春夏秋冬」 
 文・絵 おおたぐろまり氏 偕成社
「鳥の親子と子育て図鑑」 
 小宮輝之氏監修 株式会社KANZEN
「バードリサーチニュース」
 特定非営利活動法人 バードリサーチ
写真:
日下充氏
(野鳥調査ボランティア油山ヤマガラの会)
※メジロは写真AC
文:ABURAYAMA FUKUOKA自然観察センター
  土屋志乃


ABURAYAMA FUKUOKA 自然観察センター

福岡市油山にすむ生きものの標本や季節の展示、最新の自然情報発信を行っています。各専門スタッフが交代で常駐していますので、自然・生きものの困り事はお気軽にご相談ください。

開館時間 9:00~16:30
休館日  毎週水曜日(祝日の場合翌平日)

「自然観察センター」森のひろばから徒歩約3分の場所にひっそりとあります。
昆虫標本や動物の剥製を展示しています。
季節で変わる企画展示も随時行っています。

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