ハチクマの旅を疑似体験してみた!!|油山福岡*野鳥ブログ⑩
皆さん、こんにちは。日々お疲れ様です。
学校、職場、家の外、今日はどんな鳥さんに会いましたか??
9月もあっという間に中旬、スタッフも野鳥調査ボランティア「ヤマガラの会」の皆さんもソワソワする時期がやってきました。
お目当てはそう!「ハチクマの渡り」です。
聞きなれない名前かもしれませんが、主食がなんとハチ!特にクロスズメバチが大好物で巣を見つけると大きい爪でかき出し、巣ごと持ち帰った後、幼虫や成虫、蛹を食べるという猛禽類の鳥さんです。
ハチクマは渡り鳥で、春に南方から日本へ渡ってきて繁殖・子育てをし、寒い冬が来る前にまた南方へ向かいます。そして冬の間を暖かい南国で過ごし、また春に日本に戻ってくる、というサイクルで生きています。
今の時期、油山で見られるハチクマたちは、まさに日本での子育てを終え、南方へ向かう途中なのです。
ハチクマの渡りは近年衛星追跡によって分かってきたのですが、とにかくスケールが壮大!!!
今からご紹介するのは2003年から2004年に樋口広芳先生がた研究者の皆さんが共同で行った衛星追跡による調査で分かったハチクマの旅路です。
今回は「あずみ」と名付けられたメスのハチクマの旅路をGoogle earthの画像を引用しながら、そして無料素材のチカラを借りてご紹介したいと思います。
それでは旅のはじまりはじまり~♪
【9月19日】長野県安曇野(繁殖地)を出発
岐阜→近畿→瀬戸内海→そして私たちが住む九州北部へ!
【9月28日】繁殖地の安曇野から10日ほどかけて五島列島まで。
そして中国大陸に向けて東シナ海を横断します。
【翌9月29日】上海の北方へ到着
【10月7日】南の方へ!ベトナムに入りしました。
【10月12日】さらにお隣の国、ラオスへ!
【10月13日】もう次の日にはタイへ!!
【10月17日】さらに南下してミャンマーへ!雄大な景色ですね♪
【10月23日】もっともっと南へ!マレー半島中部チュムポーン入りしました!
【10月26日】中国大陸に到着してから約1カ月。プーケットまで来ましたよ!!
【10月30日】4日後、シンガポール入り!!!
【10月31日】まだまだ旅は終わらない!翌日はスマトラ島へ!!
【11月7日】ジャワ島入り!11月になりました。
【11月9日】ジャカルタの海を経由してジャワ島西部タクシマラヤでゴール!!!
いやぁ。すごい。
皆さん、いかがだったでしょうか。この国、行ったことある!という方もいるのでは♪
今回ご紹介した「あずみ」の旅路は所要日数52日、総延長移動距離はなんと9.585kmだったそうです。とても大変な長旅ですが、ほんの数か月後には彼らはもう日本を目指して翼を広げることとなります。
こんなにも壮大な旅を続けるハチクマたちのルートに、ここ油山が含まれています。油山に限らず、もしかしたら私たちのおうちのすぐ上を彼らが飛んでいることもあるでしょう。
想像するだけでワクワクします。
油山でのハチクマの秋の渡りのピークは、例年9月20日すぎから10月頭まで。昨年9月23日には次々とやってきた結果、なんと合計300羽確認されました。
そこまで大当りの日はなかなか無いですが、お天気の良い日に中央展望台でスタンバイしていると数羽~十数羽の個体が上昇気流に乗って舞い上がる「鷹柱」に出会えることもあります。
彼らの旅にエールを送りつつ、その姿を観察してみませんか?
ぜひ油山でお待ちしております。
参考文献:樋口広芳氏「鳥たちの旅 渡り鳥の衛星追跡」NHKブックス1038
ハチクマ写真:宮石弘氏、大木伸泰氏
(野鳥調査ボランティアヤマガラの会)
風景写真:PHOTO AC、pixabay
地図:Google earth
文:土屋志乃(ABURAYAMA FUKUOKA自然観察センター)
ABURAYAMA FUKUOKA 自然観察センター
福岡市油山にすむ生きものの標本や季節の展示、最新の自然情報発信を行っています。各専門スタッフが交代で常駐していますので、自然・生きものの困り事はお気軽にご相談ください。
開館時間 9:00~16:30
休館日 毎週水曜日(祝日の場合翌平日)
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