見出し画像

鳥にも人にもやさしい野鳥観察を|油山福岡*野鳥ブログ⑥

皆様こんにちは。日々お疲れ様です。
学校、職場、家の外
今日はどんな鳥さんに会えましたか?

先日、野鳥調査ボランティア“油山ヤマガラの会”の皆さんの活動(その名もピーチク会)がありました。今回はフィールドワークだけではなく午後は勉強会も実施。テーマは「野鳥撮影・観察のマナーを確認しよう」です。

この写真の中の人、みんな鳥が好き!なヤマガラの会の皆さんです♪

コロナ禍以前から問題になっていた野鳥観察・撮影時のマナー違反。
ひとつは①鳥の生態への影響を「知らなかった」ゆえに起こってしまうこと、そしてもうひとつが②「知ってはいる」けど無視してやっていることです。

まずは「知ること」から始めてみよう

下記リンクは、日本野鳥の会さんで提示されているガイドラインです。よかったらぜひご一読ください。意外と知らないことってあるんです。

ヤマガラの会の皆さんからもいろんな体験談が語られました。そのお話の中にたくさん教訓があるなと思ったのでいくつかご紹介させていただきます。

■鳥見を始めて1,2年目のころ、オオルリがエサをくわえてじっとしていたことがあった。後になってそれは巣が近くにあるから動かなかったんだと分かった。それ以来、鳥の行動を見るように心がけるようになった。
■ベニマシコが現れた時、1メートルまで近づいた人がいた。ベニマシコは全く動かなくなり、近づいた人は連写しまくっていた。
←←【知っトクPOINT:鳥が動かなくなるのは、ストレスを感じている兆候。近づきすぎている可能性があるよ】

■昔、とある鳥の営巣の写真をSNSにうっかり上げてしまったことがある。すると場所を教えてほしいという問い合わせがたくさん来て驚いた。もちろん教えなかったけど反省している。
←←【知っトクPOINT:営巣やヒナの写真をSNSに載せると反響が大きすぎることがあるよ。場所まで発信するとその場所に人が殺到してしまうきっかけになる可能性もあるよ。】

■以前、アオバズクの巣を見に行ったことがある。その時は数人ずつそっと見に行くよう言われた。それは大人数で行くと、カラスに巣の場所がばれてしまい巣が襲われる可能性があるから。「鳥を守る」という視点で野鳥観察をする、ということを教えてもらった。
←←【知っトクPOINT:いろんな理由で“大人数で押しかけない”は大事だよ】

■とある公園にコマドリが現れた。とても写真に撮りやすい場所に自分から出てきてくれるので喜んでいたら、後日餌付けされていたことを知った。実は写真に撮りやすい場所にミルワームがまかれていた。本来数日の滞在だろうコマドリが1週間以上もなぜ滞在したのか不思議だったが、餌付けが関係していたのでは。このせいで渡りが遅れることになったのではと危惧している。他にも餌付けすることによって野鳥たちの本来の警戒心が薄れノネコに襲われることもあり、まかれたミルワーム(外来生物)が成虫になって野に放たれることにもなる。
■渡り鳥のユリカモメにパンをあげている人がいたが、渡りが遅れるのではと心配だった。
←←【知っトクPOINT:餌付けによる誘引は悪影響が大きすぎるよ!!!】

他にも遭遇した事案としていろんなお話がありました。繰り返しになりますが、ぜひ日本野鳥の会さんのガイドラインをご覧いただければと思います。
「まずは知ること」をご一緒できたら幸いです。


鳥にも「人にも」やさしい野鳥撮影・観察を

ABURAYAMA FUKUOKAにはヤマガラの会さんだけでなく、野鳥観察に来たんだろうなぁと思われる一般来園者の方々も多くいらっしゃいます。
でも今のところ、うーん困った、と思うような事例は発生していません。
それはひとえにヤマガラの会の皆さんの持つ雰囲気、佇まいが園内のマナー意識の底上げをしてくださっているからに違いないと思っています。

他方、バーダー(野鳥観察する人)が多数訪れて困惑されている場所も存在します。油山市民の森のお隣さん、「油山観音」さんです。

先日住職さんのお話を伺いました。住職さんのお話によると
■3年ほど前から、突然バーダーが押し寄せるようになった(それまでは本当に静かな場所だった)。
■直接業務に支障が出ているというわけではないが、早朝から夕方まで結構な人数の人がずっと敷地内にいる状態に困惑している(そして朝の掃除がやりづらくなってそれはちょっと困っている)。
■参道の正面入り口に椅子を置いて長時間滞在している姿も見かける。何かを禁止するということはしていないが、通り道に三脚や荷物などが置かれている場合は注意することもある。
そして何度もおっしゃっていたのは
「ここは公園ではなく、あくまで観音様をお祀りしているお寺である、ということをどうか忘れないでほしい」ということでした。

「見たい。会いたい。撮りたい。その気持ち自体は悪くないけれど、それが鳥や人を困らせてしまうことがあるのなら我慢も必要。」

勉強会ではそんな声もあがりました。

最後に

今回は繁殖期を迎えたこの時期だからこそ、皆さんと確認しておきたいマナーについて、ヤマガラの会さんの勉強会や油山観音さんのお話をご紹介する形でお伝えしました。

このような話を聞くととても悲しい気持ちになって、野鳥撮影・観察自体が悪なんじゃないか、と思われる方もいるかもしれません。
でもそうではないですよ、と最後にお伝えさせてください。
自然観察全般に言えることですが、見ない、近づかない、ではないんです。

植物も、昆虫も、そして鳥も、森に入って出会って、触れることができるものに関しては触れて“実際に体験した”その先に芽生えた感情が
植物を、昆虫を、そして「鳥を守る」という考えにつながっていく、そう信じています。

なので、野鳥や人への配慮を心におきつつも、どうぞどうか思う存分野鳥との出会いを楽しんでほしいと心から思います。
その為にも野鳥の生態を知るということ、観察に訪れた場所がどんな場所なのか考えることはとても大事なこと、ですね。

自然観察センターでも、マナーを呼びかけるチラシを作りました。配布していますので、よかったらご覧ください。
それでは、皆様。
ABURAYAMA FUKUOKAでお待ちしております♪


写真提供:大木さん、日下さん(野鳥調査ボランティア油山ヤマガラの会)
文:ABURAYAMA FUKUOKA自然観察センター 土屋


ABURAYAMA FUKUOKA 自然観察センター

福岡市油山にすむ生きものの標本や季節の展示、最新の自然情報発信を行っています。各専門スタッフが交代で常駐していますので、自然・生きものの困り事はお気軽にご相談ください。

開館時間 9:00~16:30
休館日  毎週水曜日(祝日の場合翌平日)

「自然観察センター」森のひろばから徒歩約3分の場所にひっそりとあります。
昆虫標本や動物の剥製を展示しています。
季節で変わる企画展示も随時行っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?