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そのツバメ、いつものツバメ??|油山福岡*野鳥ブログ⑧

皆さん、こんにちは。日々お疲れ様です。
学校、職場、家の外、今日はどんな鳥さんに会いましたか??
私の通勤途中にはちょっとしたツバメスポットがあります。結構交通量のある交差点なのですが、車ぎりぎりにツバメたちが飛び交い、すぐ近くの昔からある個人商店さんの軒下に入っていく姿をいつも見かけます。皆さんのおうちの近くでもツバメたちの姿が見られる場所があるのではないでしょうか。

ABURAYAMA FUKUOKAにもツバメスポットがあります。
牧場側、CHEESE STANDさん近くの軒下です。2週間前は抱卵している母ツバメの様子を確認していたのですが、先日見るとかわいい頭が見えていました!

実は、油山で会える「ツバメ」と名がつく鳥は全部で4種もいるんです。今回はそんなツバメーズの皆さんをご紹介したいと思います。

①ツバメ

3月~9月に日本に渡ってくる「夏鳥(なつどり)」であるツバメ。民家の軒先や店先に巣を作ることもありなじみのある鳥さん、いわゆる「いつものツバメ」です。

【特徴】

・のどが赤い(ちなみにオスはのどが赤い方がモテるですって!)
・下面(腹部)は白い
・尾羽はふたまたに分かれている(オスはメスに比べて長め。)
・体は流線型で超高速で飛んだり、急旋回したり飛行能力がものすごく高い。
園内では今年、花木園や駐車場、つり橋や73番などいろんな場所の上空で確認されています。

②イワツバメ

基本的には 日本で繁殖した後、東南アジアで越冬する夏鳥ですが、九州では一部越冬しています。油山では確認されていませんが、福岡で越冬している個体もいるそうです。

【特徴】

・ツバメにあるような赤い毛はない。白黒2色。
・尾羽は短い。
・腰の部分が白い(写真に写ってなくてすみません!)
・ツバメの全長が18㎝に対して、イワツバメは12㎝と小柄。
・あまり電線にとまらないのでじっくり観察するのは難しい。
・ツバメが俊敏な飛び方に対して、パタパタと飛んでいる感じ。
園内では今年、つり橋や73番上空で確認されています。

③コシアカツバメ

東アジアから地中海沿岸地方までと比較的暖かい地域を好み、日本には夏鳥として渡ってきます。ツバメよりも1ヶ月ほど遅く、4月下旬から5月上旬に渡来します。

【特徴】

・目の後ろ側は赤いが、のどは赤くない。
・下面(腹部)に縦じま模様がある。
・ツバメ同様尾羽が長いが、ツバメと違って白斑が無い。
・下から見ると分かりづらいが、名前の通り腰が赤い(赤褐色)。
・ツバメより骨格が大きく、とまっている所を見ると少し怒り肩に見える。
・ゆったりと飛ぶ感じ。
園内では今年、73番上空で確認されています。

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以上が油山で確認された「スズメ目ツバメ科」の鳥たちです。
でももう1種、ツバメと名がつく鳥が確認されています。ヒメアマツバメです。

④ヒメアマツバメ

写真が無いので、ヒメアマツバメを特集しているテレビ徳島さんの映像をご紹介します。

ヒメアマツバメはツバメによく似ていて名前にもツバメがついているものの、スズメ目ツバメ科ではなく、アマツバメ目アマツバメ科と、まったく違う系統の鳥さんです。分類としてはハチドリに近い分類群とのこと。
園内ではこの時期にごくまれに見かけるくらいですが、日本に周年いる留鳥です。

【特徴】

・体の長さに比べて翼が長く、かま状に見える。(アマツバメの仲間共通の特徴)
・全体的に黒褐色で、下面(腹部)も灰黒色。腰と喉元が白い。
・アマツバメに比べるとふたまたに分かれた尾羽が浅め
園内では今年はまだですが、去年は椿の森上空やつり橋で確認されています。
ちなみに園内ではこのヒメアマツバメのみの確認ですが、すぐ近くの片江展望台でタカの渡りの定点調査をされている野鳥の会福岡支部さんの記録だと、ヒメアマツバメに加えてアマツバメ、ハリオアマツバメも目視されているようです。

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ちょっと遡りますが、いつものツバメの話。
実は牧場だけでなく、市民の森側にある「森のひろば」も毎年ツバメが巣を作る場所でした。
ヤマガラの会の皆さん、登山に来たお客さんや遠足に来た園児たち、そしてスタッフたちに見守られ毎年ヒナが巣立っていました。

それが昨年ちょうど彼らの渡来時期とリニューアル工事が重なり、ツバメたちは森のひろばでの巣作りを断念せざるを得ませんでした。
何日も上空をくるくる旋回しながら様子を見ていた姿を見て、申し訳なかったことを覚えています。
そして今年。無事に工事も終わってあとはツバメが来るのを待つばかり…だったのですが残念ながら営巣する個体はおらず、去年のことがあったからもう縁が切れてしまったのだろうか…と寂しく思っていました。

それが数日前、出勤すると森のひろばの電線に今年巣立った幼鳥6、7羽と交互にエサをあげに来る親ツバメの姿がっ!!

(↑↑スマホで撮ったので、ちょっと遠いですがご容赦くださいね。)

え!?どこで子育てしてたの??とスタッフ皆ビックリ!
ただ次の日には皆おらず、おそらく園外で繁殖したものが一時的にやってきたようでした。

それでも1年ぶりに森のひろばでエサをねだる幼鳥たちと忙しそうな親ツバメの様子を見ることができてとてもうれしかったです。
今年は牧場のツバメたちの子育てを見守りつつ、そして来年こそは市民の森側森のひろばでもツバメたちが子育てしてくれるといいなと思っています。

お!?ツバメが仲良く電線に並んでる♪
いや違う!左のツバメはいつものツバメじゃないっ!!〇〇〇〇ツバメだ!!
もう皆さんは分かるはず!

梅雨入りしたとはいえ、その合間には青空が広がる今日この頃。
園内でふと上を見上げるとしゅんしゅん飛び交うツバメの姿を見かけることがあります。そんな時
「あぁ、ツバメか」
では終わらずにどうぞじっくり観察してみてくださいね。
もしかしたら「いつもの」…ではないツバメたちかもしれませんよ。


参考・引用:
「ツバメの謎」北村亘氏 誠文堂新光社
「BIRDER」2023年4月 文一総合出版
写真:※一部写真AC
宮石弘氏、日下充氏、酒井浩二氏
(野鳥調査ボランティア油山ヤマガラの会)
動画:井上陽子
文 :土屋志乃
(ABURAYAMA FUKUOKA自然観察センター)



ABURAYAMA FUKUOKA 自然観察センター

福岡市油山にすむ生きものの標本や季節の展示、最新の自然情報発信を行っています。各専門スタッフが交代で常駐していますので、自然・生きものの困り事はお気軽にご相談ください。

開館時間 9:00~16:30
休館日  毎週水曜日(祝日の場合翌平日)

「自然観察センター」森のひろばから徒歩約3分の場所にひっそりとあります。
昆虫標本や動物の剥製を展示しています。
季節で変わる企画展示も随時行っています。

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