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2018年インターネットいい話8

2018年を振り返ってインターネットいい話を8個挙げるやつです。

・インターネットで見たわけではない
・人の話だとも限らない
・裏は取っていない
・題材の人から許可も取っていない
・怒られたら消えていく

事柄があり、伝達があった。
そういうことで、話を8個挙げます。なるべく切り詰める。全部仮名。
以下に目次があり、そこだけ見れば大体分かるようになっています。
では早速やるぞ。

卒業を諦められたから卒業した話
70歳にして初めて宝塚歌劇を観に行った話
真夏に五条大橋の欄干に抱きついて温かみに触れた話
三時半の伏見稲荷でおじさんとすれちがった話
北海道に突入するのが早すぎる話
水筒を蹴飛ばしたので結婚した話
Vの者にガチ恋した話
マゾ犬がインターネットで吠えていると飼い主が発生した話

卒業を諦められたから卒業した話

教授に土下座してなんとか四年生になったものの、やはりどうにも単位取得がはかばかしくない佐倉。当然ながら留年して五年生をやっていたが、今年の卒業も絶望的だった。そう、Vtuberにはまってしまったのである。折しもVtuber黎明期(2017年後半~)、雨後の筍のように発生する動画を全部見ていると時間が溶けた。そういうわけで、内定もあるのに卒業は出来なさそうだった。これは俺もVになるしかないかと思っていると、実は足りないのは1単位だけであると判明。しかし担当教授はもう無理だよ諦めなよと渋い顔。持ち前の天邪鬼がむらむらと鎌首をもたげ、落としたコマの教授の研究室に一週間日参し頭を下げ続け、ついには口をきいてもらえなくなったのでこれはだめかと諦めていたらなんか単位がでていた。よかったですね。

70歳にして初めて宝塚歌劇を観に行った話

萩尾望都とかよくわからないけど確か年齢も近いはずだし、宝塚在住なのに歌劇を見たことがないから折角のこの機会に見ようと思ったのよ! 当日券(2000円)だったら安いしね! あっはっはっは!! と完全に初対面の東に突如語りはじめたおばあさん。平日なのに当日券のために何十人か並んでおり、いくらでもしゃべれそうなお姉さんはいるだろうにどうして僕。今まさに本読んでるんですけど。ハードカバー手に持ってるでしょ。止まったと思ったら話が続く。たすけて……。
#この後 『ポーの一族』で大号泣し、終演直後は宝塚では滅多に降らない雪がぎゃんぎゃんに積もっていて完全に「非日常」になってしまった。

真夏に五条大橋の欄干に抱きついて温かみに触れた話

原稿が限界だったので一時間たむろした喫茶店を出て五条大橋で鴨川を眺めていた、夏。空が青すぎるし鴨川は流れすぎる。誰か俺をここに留めてくれ~~!! っつって欄干に抱きついたらあったかかった。そうやって出来たのがこちらです。

三時半の伏見稲荷でおじさんとすれちがった話

佐藤と神田は真夜中の京都を歩いていた。深夜徘徊が趣味の佐藤と、夜の京都を歩いてみたかった神田の思惑が合致したのだ。嵐電の終電に乗り、北野白梅町を起点として、まず東、そして南へと進んでいった。鴨川を渡り、鴨川デルタを渡り、木屋町を下って八坂神社へ入った。終電を逃したおっさんと写真を撮るおっさんがいた。そんな感じで、遂に伏見稲荷まで至ったのである。イノシシを避けつつ山に登り、三の峰で登山を諦め四つ辻へ下り、ベンチで休んでいた。既に四時間近く歩きづめである。腰を下ろした瞬間「疲労」を自覚し、動けなくなっていた。そんな中、足音が聞こえる。丑三つ時を過ぎ、最早人の時間ではない。一体何が……!
おじさんがごみを拾いながら現れた。「おはようございます」と挨拶され、もごもごと返答する。おじさんは何食わぬ顔で辻を越え、登山道へ歩き去って行った。そうか、もう朝なのか……。
その後下までおりたらその辺のおばあさんとかその辺の親子連れとかが普通に参拝しはじめていた。伏見稲荷の朝は早い。

北海道に突入するのが早すぎる話

釧路空港を車で出て五分もしないうちに「野」になり、北海道に突入するのが早すぎる。一生で見ていい牛の数を遥かに超えた牛を見てしまい、牛カウンターがカンストしてバグってしまった人間も出た。圏外だからインターネットから逃れることが出来たと思ったのに電波が追いかけてきたこともあった。汁物に無造作にカニの足が入っている世界観に突入してしまった。いくらを取り続ける蛮族も発生した。ここは北海道広すぎる大地、人間は試され、全てが「野」に帰す……。

水筒を蹴飛ばしたので結婚した話

乾燥した地域では水は非常な財産として受け取られており、大切な水を入れておく容れ物である水筒を蹴り飛ばしてしまったからにはその人の一生を養う覚悟が必要とされる。そういう話ではなく、現代日本での出来事です。

大学受験の日、席の前後になった二人。緊張からか足がうまく動かず、前の人の水筒を蹴り飛ばしてしまう。一度といわず何度も。そんな迷惑をかけたりかけられたりしながらも、幸い二人とも無事合格。
受験当日ももちろん謝っていたのですが、学内で出会う度「やああの時はすいませんで……」と謝っていたところ仲が深まり交際が発生。七年と少し経過し、めでたく入籍に至ったそうな。めでたしめでたし。

Vの者にガチ恋して人間になった話

ミステリは何故人を殺すのか。物語の上とはいえ、「事件」のために内面と感情をもった人間が殺害され消費されることは是か非か。そんな悩みを抱きながら生きてきた文学青年がVの者に出会い、ガチ恋をし、「宮澤伊織先生は「百合が俺を人間にしてくれた」と宣いましたがあのようなもので、Vの者が俺を人間にしてくれたんですよ。今までよくわかってなかったけど感情ってこんなにでかいんですね……」と喚きだして、秋。紅葉の季節でございます。

マゾ犬がインターネットで吠えていると飼い主が発生した話

強いバリキャリに飼われたい人間というものが一定層いるわけですが、そういうマゾ犬がインターネットでキャンキャン吠えていると飼い主が発生したらしいんですよ。めちゃくちゃいい話ですよね。めちゃくちゃいい話だと思って職場で二人くらいに話したんですけど全く同意されなかった。どうして……。

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