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鉛筆の最高峰、ホモ鉛筆についてまとめる。

初めまして、あびかくと申します。

この度は初めてnoteに投稿するので自分の一番好きな鉛筆、ホモについてまとめ、私とホモ鉛筆についても少し綴ろうと思う。この記事には私の個人的な推測も含まれるため、確実な情報がほしい!という方にはプラウザバックをお勧めする。

ホモ鉛筆 3B

ホモ鉛筆とは何か

由来

まず「ホモ」という名前を聞いて何を思い浮かべるだろうか。名前からしてあまりいい印象を持たない人も多いだろう。しかしこの鉛筆の「ホモ」はその「ホモ」ではない。『「ホモ」は”homognize”(均一化)から来ている』とホモ鉛筆に付属している説明書に書いてある。つまり、鉛筆の粒子を均一化することで滑らかな書き味を実現しているのだ。

ホモ鉛筆についての基本情報

ホモ鉛筆は発売元はトンボ鉛筆(当時は株式会社トンボ鉛筆製作所)ホモ鉛筆は1952年に発売、1969年にmono100を後継として廃番となる。定価は後述する。軸は通常の鉛筆とは異なり木目を生かしたデザイン、劣化しにくい塗装(後述)を採用している。

前期モデルと後期モデル

ホモ鉛筆には前期モデルと後期モデルがある。説明書や什器から、前期モデルは定価が一本10円、後期モデルは30円であった。前期モデルは「製図用鉛筆」と旧字体で書かれている。

しかし、後期は新字体のものになっており、1964年以前のものは製造元が「トンボ鉛筆製作所」である。その後は社名が変更され、説明書に載っている名前は「株式会社トンボ鉛筆」である。前期モデルと後期モデルが変更された正確な時期はわからないが、1957~1960すぎまでの期間に行われたものではないかと推測している。1969年ロットのものは製造年(月)も書かれており製造期間が印字されたのはこのころからではないかと思われる。

前期モデルの塗装は後期モデルと違い、軸本体にコーティング塗装がされていなく、木物語のような手触りとなっている。また印字も軸本体に金色で“TOMBOW“と刻印されており後ろにはJISマークがついている。

一方、後期は銀で“TOMBOW“と刻印があり、側面には“PRECISION DRAFTING&PHOTOーRETOUCHING“と書かれてある。これは写真修正用という意味を表し、今では鉛筆で写真を修正することは全くなく、時代を感じる。そしてもう一面には“H.O.P PRODUCT “HOMO”(JIS)”と書かれており、もう一面は“MADE BY H.O.P Supreme Quality TOMBOW(トンボマーク)4612 (硬度)”と書かれている。

ちなみにTOMBOWマークは時代によってはTombow表記のものもある(Tombow表記のほうがのちの時代のものではないかと思われる)。塗装は木目を生かしたラッカー塗装である。

上から前期、中期、後期

付属品

後期のホモ鉛筆には付属品として射出式ケースがついている。付属している説明書によれば「リユースを考慮している世界初のケース」という趣旨の文が書かれている。実際、とてもリユースしやすいような形状のケースを採用しており、まるで筆箱みたいな外観をしている。ケースの色は黒を基調とし、ケースの蓋は透明である。蓋には大きく“HOMO“と印字されている。

ケース前面

また、付属品として天然ゴムを使った(当時では)最高級の消しゴムがついている。この消しゴムは時期によってSEED製、または田口の消しゴム製に分かれている。しかし、どちらとも消しゴムの表面は“HOMO“と“TOMBOW“のマークがついており、デザインや形は共通したものとなっている。
背面を見ると田口製の消しゴムは“TAGUCHI&FUKUI CO.,LTD.”との記述がある。SEEDはMADE BY SEEDとある。なお、田口製のものは中期ホモに付属し、SEED製のものは後期に付属していたと思われる。この頃はトンボは自社で消しゴムを作りはせず、他社OEMとして作られていた。

付属する消しゴムの前面。左はSEED製、右は田口製である。
背面

そして説明書がついている。今の鉛筆のケースには説明書がついているケースはほとんどなくこれもコストがかかっているなと感じる。説明書の内容としては“HOMO“の由来から9H~6Bまでの科学的なグラフも掲載されている。この頃はメーカーごとの競争が激しかったのか、各社ごとに最上位モデルには必ず説明書がついており、それぞれがデータや書きやすさを強調しており今よりも競争が激しかったのかもしれない。

話は逸れるが、コーリンのハイピアスもその例である、ハイピアスにも説明書がついておりその「内容も自社のが一番良い」と言ったような内容である。当該製品もこれと同様であるが、他社のものよりも詳しく特徴やなぜ良いのかというエビデンスを載せているという特徴がある。ちなみに紙は薄いのでとても破れやすい。

ホモ鉛筆に付属している説明書の前面
背面

補足として、ケース内には赤い台紙が入っている。台紙には硬度の種類が書いてある。

書き味

ここでは実際に書いて見た感想を書く。今回使ったのは後期の2Hのものだ。まず、鉛筆の匂いがいいと直感的に感じた。特に削りたてのものはインセンスシダーの匂いが他の鉛筆よりも強いのかなと言った印象を持つ。持ちやすさは結構しっかりしており、他の鉛筆より(手汗が多い私が使っても)滑りにくい。

ちなみにインセンスシダーは色々な高級鉛筆に使われている。当該製品はアメリカ、カリフォルニヤ産(説明書のまま表記)のものが使われている。これが30円のクオリティとは思えない。

早速書いてみよう。紙はごく普通のわら半紙を使っている。書いた印象としては2Hの割に濃いという印象を受ける。コーリン鉛筆3030の2Bと書き比べてみたところ、コーリン鉛筆とホモ(2H)ではほぼ同じ濃さであったのだ。しかも製造時期はホモの方が断然早く、年代の差では語れない違いがある。

単体としての書き味を見てみると、2Hとしては非常に滑らかである。他の硬度(5H、2B)でも書いてみたところ、明らかに現行の鉛筆とは一線を画した書き味と言えよう。
ただ、欠点としては2Bが年代のためか、少し芯が折れやすい。流石のホモでも月日には逆らえないのであろう。

総合的にみると、ホモは現代の鉛筆よりも滑らかに、濃くかけるということがわかった。しかし硬度が柔らかいものは折れやすいため、もし実用をするなら硬度ができるだけ薄いものをお勧めする。

試し書き。めっちゃ汚くてすみません。

ホモ鉛筆との出会い

需要があるかわからないが、この節では私とホモ鉛筆との出会いを少し記していこうと思う。

初めてホモに出会ったのは去年の4月であった。私は愛媛に旅行に行っており、愛媛の松山市にあるH文具店という店でホモのFを1ダース買った。そこの店にはFがまだ3ダース残っており、いまだに買っておけばよかったと後悔している。その頃、自分は全くと言っていいほど、鉛筆には興味はなかった。しかし、この鉛筆と出会い、鉛筆の奥深さを知ることになった。まさしく私に鉛筆の興味を持たせてくれたものがこのホモと言えるだろう。

その後、私は鉛筆の沼にどっぷりと浸かってしまった。私は関西に在住しているのだが、さまざまな関西の文具店でホモと出会い、今ではホモ鉛筆は約8ダース持っており、コーリン鉛筆などの他社メーカーのものに手を出すようになった。ただ、他社メーカーのものよりもやはりホモが一番である。高級感があるデザイン、実用的なケース、滑らかな書きごごちとどこをとっても引けを取らない、まさしく鉛筆の至高であると言えるだろう。

こんな風に偉そうにホモについてnoteを書いている私だが、私はまだまだ鉛筆においてもその他の筆記具においても知識もさほどなく、周りの筆記具愛好者の人みたいにさほどすごいコレクションは所持していない。ただ、この鉛筆だけは誰よりも愛している、と自負している。

もし、鉛筆や筆記具に興味がある人はぜひ、大したものは投稿していないが、私のtwitterを見にきてほしい。長文になったが、ここまで読んでくれた方には感謝を申し上げる。また気が向いたら投稿するのでよろしくお願いします。

読んでいただきありがとうございます。