山川草木悉皆成仏という造語

山川草木悉有仏性は、日本戦後における京都学派の日本讃美の都合でつくられた造語であると僕は述べてきた。
しかし、そこに至る過程ではある程度の類似した典拠は経典などにあることはある。
それを整理しておきたい。

初期涅槃経 該当する類語なし
後期涅槃経 一切衆生悉有仏性
中国の六朝後期かまたは日本天台で生まれた言葉 草木国土悉皆成仏
1970年代から 山川草木悉有仏性 (山川草木悉皆成仏)
1986年 中曽根(施政方針演説) 山川草木悉皆成仏
梅原猛 山川草木悉有仏性より山川草木悉皆成仏の方が訴える力が強いと思い、使いはじめたと認める

山川草木悉有仏性とは戦後日本の言葉で梅原=中曽根路線の中の造語だと僕は指摘してきた。
が、梅原の証言によると、この言葉は、山川草木悉皆成仏よりはやや古いらしい。(しかし、1970年代からかもしれない。これも梅原かその周囲の京都学派の造語である可能性は残る。)
そして、梅原はその山川草木悉有仏性をさらに山川草木悉皆成仏と言い換えたということについては認めたという証言がある。
それを中曽根が施政方針演説で使った。(ということを書いているブログが存在する。)

いずれにしろ、日本の神仏習合思想を讃美したいという政治的意図が京都学派にあるということを、僕が言ってきたことは、重要な論点であることには、かわりないと思う。

正確にいつからどの書にどの言葉、誰がどの造語という考証にはさらに厳密さが必要かもしれません。(まだ著書に書くとかしてなくてよかった。(^_^;)

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