仏教余話

その227
さて、従来、チベット語仏教文献は、ツオンカパ研究を機軸としていたせいもあり、中観派や仏教論理学方面の考察は、かなり進んでいる。しかし、『倶舎論』などのアビダルマ文献についての研究は、未知な部分も多い。本演習は、本来は、仏教論理学をテーマとするものであるが、その根源には、アビダルマが横たわっていて、アビダルマの理解なくして、仏教論理学の理解もないのである。その辺りの思想的関連は、今まで、正しく、考察されていなかったような節がある。私は、そういう観点から、『倶舎論』を土台とする仏教論理学の研究を行いたいと考える。故に、皆さんにも、まず、『倶舎論』について、学んでもらいたい。その書誌学的説明は、後ほど、ゆっくり行うが、『倶舎論』の思想的問題点を、今後の展望も含め、以下述べてみたい。今までの、漱石から始めた説明は、すべて、以下の考察を行うための布石であると心得てもらいたい。これからの考察は、かなり専門性の高いものであるから、少々、難解である。


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