Tips of Buddhism

No.37
In theUllabana Sutra,the Buddha instructs his disciple Maudgalyayana on how to obtain liberation for his mother, who had been reborn into a lower realm,by making food offerings to the sangha on fifteenth day of the seventh month.This practice is the basis of the East Asian Ghost festival,including the Bon Festival,in honor of one’s ancesters.
(hints,Ullabana Sutra盂蘭盆経、Maudgalyayana目連、sangha僧伽)
(from Wikipedia,Ullabana Sutra,2016/05/21)
 
 
(訳)
『盂蘭盆(うらぼん)経(きょう)』で、仏陀は、弟子の目連(もくれん)に「どうしたら母親が救われるのか」教示した。彼女は、地獄に生まれ変わっていたのだ。「7月15日に、僧伽(そうぎゃ)に食事の供養をすれば〔救われる〕と教えた」〕。この行事は、先祖供養のための、東アジアの施餓鬼(せがき)供養、お盆供養に根差している。
 
(解説)
お盆の由来となったお経を『盂蘭盆経』という。この経は、実はインドで書かれたのではない。中国で、作られたものである。この種のお経を偽経(ぎきょう)という。パクリと言えば、言えるが、古代インド人も似たようなことをしている。凡(およ)そ、むかしの人達には、知的所有権という考えはない。知的所有権を声高(こわだか)に叫び、金銭に執着する現代人と比べると、遥かにましなような気もするが、どうだろうか?偽経としては、他に『父母(ぶも)恩(おん)重(じゅう)経(きょう)』等がある。
 さて、『盂蘭盆経』制作の裏事情は、出家嫌悪にある。仏教では出家を薦めるけれど、それでは先祖供養は出来ない。中国社会にあっては非常に困った事態である。そこで、出家者への供養が、先祖供養になることを説いた。仏教側にとっても、中国の民衆にとっても都合の良い内容になっているわけである。
 主人公は、釈迦の直弟子、目連とその母親。これも偶然ではない。目連は、弟子中神通力(じんずうりき)第1と言われている。その彼が、神通力で地獄の母親の悲惨(ひさん)な姿を見たという設定に仕立てた。偽経とはいえ、その辺りは、登場人物をうまく工夫している。ちなみに、『般若心経』には、舎(しゃ)利子(りし)という直弟子(じきでし)が出てくる。彼は、智慧(ちえ)第1と言われている。『般若心経』は、智慧のお経なので、そこには舎利子ということになる。
 ところで、先に偽経と述べたが、最近、ネットを見るとそれを否定する発言が見つかった。辛島(からしま)静(せい)志(し)氏は、以下のように言う。
 近代においては『盂蘭盆経』は中国で作られた偽(にせ)の経典だと見なされてきた。しかし、上に見たように、その内容と思想はインド仏教に基盤がある。この経典に見える漢語(かんご)語彙(ごい)は、鳩摩羅什(くまらじゅう)〔Kumarajiva,344-413〕の訳した経典(401~413年に訳出)に見えるものよりも古風で、竺法(じくほう)護(ご)〔Darmaraksita,239-316〕の用法に似ている。この経は偽経ではなく、3,4世紀に竺法護か誰かによって、インドの原典から訳された経典である。(辛島静志「「盂蘭盆」の本当の意味―「ご飯をのせた盆」と推定」『中外日報』2013,7月25日掲載、ルビ・〔 〕私)
教典ではないが、中国・日本に絶大な影響を与えた『大乗起(だいじょうき)信論(しんろん)』は、長くインド原典を訳
したのか、中国で作られたのか、決着はつかなかった。ようやく、昨年、大竹(おおたけ)晋(すすむ)氏が「中
国の諸文献をパッチワークのように組み合わせて作ったもの、つまり中国で作られたもの
であること」を論証し、長い議論に終止符が打たれた。しかし、この説もそのうち覆るかも
しれない。『盂蘭盆経』もどうなるのかわからないのである。
 


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