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建築基準法を隠れ蓑にした住環境破壊を訴えます

私たちエステムコート阿倍野コンフォルトの住民一同(以下住民)は、東隣に建設中の新マンション(地上8階建)の建築主「長友産業株式会社(以下長友産業)に対し、プライバシーの侵害、日照時間短縮による住環境の悪化や生活環境の悪化への懸念が解消されないことから、2020年8月31日付で大阪府公害審査会に公害調停を申請しました。これに対し、長友産業は10月9日付で大阪府公害審査会に意見書を提出。現在、三者で調停日程を調整中です。

エステムコート阿倍野コンフォルト(13階建)
大阪市阿倍野区阿倍野筋三丁目8番18号

新マンション(仮称・阿倍野筋三丁目マンション8階建)
大阪市阿倍野区阿倍野筋三丁目8番15号

隣接マンションの建設を巡っては、建築計画が発表された2020年2月から住民間で、「日照が少なくなる」「健康が損なわれる」「洗濯物が乾かない」など生活環境が著しく悪化することに懸念を示す声が寄せられました。工事開始に先立ち、長友産業は、2020年3月4日に地域住民に対する説明会を開催。その際に、住民より別紙1の疑問と懸念をはじめとする27項目にわたる質問書を提示し、回答を求めました。

しかし、長友産業から示された回答は、主旨・具体質問項目をすべて否定。木で鼻を括るような住民の問題に真摯に向き合おうとする態度ではありませんでした。(別紙2)
特に「日照」問題については、建設地は商業地域であり、建築基準法における日影規制の対象区域ではないとし、法的に何ら瑕疵はないと言い張り、誠実に対応する姿勢がありません。

確かにこの地区は商業地域であり、建築法上の住居適用は受けておらず、建築基準法上、いわゆる日照権等の侵害には当たりません。しかし同時に同地域は、小中学校だけでなく徒歩圏内に公立、私立の高等学校が5校も林立する大阪市内でも有数の文教地区であり、その環境を求めて多くの家族が転居してくる、市内でもトップレベルの住環境を有する地域でもあるのです。
つまり、建築基準法上の商業地域であっても、地域にそれぞれの特性があり、一様ではありません。一律「商業地域」だから法的に問題がないというだけでは、その地域地域の実情に合う社会的な環境づくりはできないということです。
今回長友産業が建設しようとしているマンションは、住宅が密集している狭隘な土地に、隣接マンションの居住環境を無視した建築を行おうとしているものです。

この地域には低層・中層・高層・超高層マンションが100近くあります。一般住宅はマンションの数以上にあります。
 マンションは林立・並列マンションも多く、また、それぞれが道路に面する、隣接地と接する、先行社マンション、後行社マンションなど千差万別です。日照・採光・ベランダは圧倒的に東・東南・南・南西・西に向かっています。今回のように隣接・並列して東に向き、後行社マンションが先行社マンションの日照に大きく影響を及ぼすような建物は見いだ出せません。多くの住宅も建築基準法の「日影規制」から除外されていますが、おおむね日照・採光は整然と確保されています。
 この要因は、近年に進められた阿倍野地区再開発計画とバブル時代の日照問題の紛争の教訓から「商業地域といえども建築会社間と住民間に日照などの紛争や混乱を持ち込まない」という社会的合意や、社会的ルールが暗黙裡に定着していることを反映していると考えられます。

 同社は、企業理念として「お客様に喜ばれる責任ある仕事を追求していきます」「何十年も安心して過ごすことができる建物を構築することを強くお約束します」を掲げています。この理念は現代大都市で営業する建築業者として道義的責任と社会的責任の役割を発揮する決意を表明していると理解できます。しかし、今回示している態度・姿勢は自ら掲げる企業理念と反していないでしょうか。
建築後は、賃貸マンションとして長友産業が運営するとのことです。しかし、このような地域の住環境、社会環境を無視するような態度で、企業市民としての自覚もない会社が地域住民と共によりよい地域を作ることができるでしょうか。

一方で、建築予定が告知された段階から、大阪市建設局に対して陳情を行い、長友産業に申し入れた質問書を提出し、住民と建築主間で問題が生じていることを訴えてきました。しかし、大阪市としては、建築基準法上の不備は指摘できてもそれ以上の対応はできないとの回答です。
前述の通り、建築基準法上の商業地域であっても、地域にそれぞれの特性があり、一様ではありません。大阪市内だけでなく、各地にはそれぞれの地域特性というものがあります。各自治体は地域特性を生かした環境条例を作ったりして、その地域環境を育てることをしています。大阪市は、現状の建築基準法の枠だけでなく、そうした地域特性に合わせた環境づくりを行い、地域に合わせた条例を制定するなど、持続性のある地域づくりを行うことが必要と考えます。

私たち住民は、今後も長友産業に対し、住民と真摯に向き合い、この環境問題の解決を求めます。同時に、大阪市に対しても、地域の特性に応じた環境づくりや地域住民の声を反映させる仕組み、条例の策定など、よりよい住民自治を求めます。

なお、長友産業が建築する土地は、衆議院議員左藤章氏とその家族が所有するものです。住民は、左藤氏に対しても住民の懸念や疑問に対する回答を書面で求めましたが、これには答えず、自身は回答する立場になく長友産業と話し合えと、門前払いをしました。マンションが立地する町内には、左藤章事務所も存在しており、長年地域と共にある国会議員の態度としていかがなものかと、住民は憤っています。


2020年10月16日

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