「その旅の旅の旅」景をめぐる⑤ 11/8 庚申塚→染井霊園(移動祝祭商店街 まぼろし編)

含まれる景・・・3

この日は午前から杉山さん、長島さん、デザイナーの優衣さんと大塚スタートで景をめぐっていた。
午後からは杉山さんと自分だけになり、都電に乗って庚申塚駅へ。

13:30
庚申塚駅に到着。
駅の目の前というか、駅の中に牛川さんの景7のいっぷく堂。
目の前でおはぎを作ってくれる。
焼きそばもおすすめしている。
中には大きな木のテーブルがあり、イートインもできる。
牛川さんの動画はここで見るというタイプのものではないと思い、視聴はしない。

画像1

同時にここは、とくさしさんの景3
庚申塚駅と、隣の新庚申塚駅はものすごく近い。都電の中でその一駅間録音した音。
景1のトランパル大塚もそうだったが、踏切の音のように何かの出来事と連動して起きる人為的な音が取り込まれていると、今きている電車と、録音のときにきた電車の音が重なって、知覚がやわらかく乱れるかんじがする。
彩色の加わった後半になって気づいたのが、当たり前のことだけど、録音のときの音のトーンに合わせて彩色した音は、いま現実に鳴っている音のトーンにもマッチする。なので、彩色がリアルな音にも干渉して、一回限りの重なり方をする。

さらにこのときは、耳で聞こえてくるその過去の音/今の音/彩色音の溶け合ったものが、目に映るものにも重なるという感覚があった。
向かいのホームにゆっくりと降りてくる喪服の高齢者たちの歩きに、溶け合った音が重なって、ゴダールの映画のようだった。
単にまちの情景に音を足したのではなく、またまちの音を切り取っただけでもない、景体験の乱反射みたいなことを感じた。
昼間で、人がたくさん歩いていて、ここが地蔵通り商店街の外れというような立地もあったと思う。
音の景を味わってばかりで写真を撮るのも忘れた。

そのまま地蔵通り商店街の方面へ。
途中に、猿田彦大神の庚申塚。

画像2

画像3

牛川さんが強くフィーチャーしていた場所。旧道と旧道の境目にある。
旅人を見守る神様でもある。

地蔵通り商店街を進んで中山道に出る。
青果市場を超えて、染井霊園へ。

とくさしさんの景4、染井霊園。
わずかに聞こえるとくさしさんの足音を敏感に感じる。
この日は納骨に来ていた僧侶の念仏が広い敷地に響いていた。

画像4

巨大な神殿のような墓があり、名前をみると、土方与志と妻の墓だった。新劇運動や築地小劇場のことも墓石に掘られていた。
なんとなく引き寄せられたように感じてしまう。

霊園を出て、ひたすら旧中山道を進んで板橋駅まで行き、池袋本町を回って椎名町まで歩く。

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コラボしている3商店街からも大塚からも遠いので、染井方面まで来る人は少なかっただろう。だけど街としては面白い一帯なので、景めぐりでも、何かのクリエーションをする場としても確実にポテンシャルはある。
染井霊園や青果市場という江戸以来の由縁があってぽっかり空いたオープンスペースも、豊島区内では貴重かもしれない。そういうものはここ巣鴨か雑司ヶ谷方面にあって、ちょうど「移動祝祭〜」では取り扱っていない。商店街というテーマからは外れるかもしれないが、都市空間にとっては大きな意味のある空間。

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