自己開発能力

 あるところにきこりがいた。疲れて休んでいた。知り合いがそばを通った。のこぎりの歯が丸くなっていることを見つけた。研いだらどうかと伝えた。きこりは忙しくてそんな暇はないと答えた。家に帰っても今日は疲れているから、もう休もうと思うと。それを聞いて知り合いは馬鹿なことだと思った。きこりにとってのこぎりは一番大切なものなのに、自分を正当化していると。しかし我々もこのきこりのことを笑えない。我々にとってののこぎりは能力と考えられる。優秀な調理人は毎日包丁を研いでから仕事を終えている。これが終わって仕事が終わる。我々も仕事の中に能力を高めることを組み込む必要がある。ドラッカー教授曰く、優秀な経営者に共通する能力が一つだけある。それはセルフデベロップメントつまり自己開発能力だ。経営トップになると誰も何も言ってくれない。自分で磨いていかないといけない。 

 
 これは私がドラッカー塾に通い始めたときに最初に講師の国永先生から教えられた話だ。これを聞いてから、ときどき思い出しては反省している。ただ意識は常に持つようにし出した。出来たり出来なかったりといい加減なものだが、朝5時に目が覚めたときは、そこから新聞を読んだり、読書をしたりしている。6時頃に眠くなったらまた寝ることもあるが、それでも構わないと思ってゆっくり生活のリズムが着くようにと考えながら行っている。 
税理士試験の受験勉強をしていたときは、昼間仕事をして、家に帰って食事をしたら直ぐに勉強にとりかかったものだが、今は晩酌を欠かさないので、情けないがその後は勉強にならない程飲んでしまう。晩酌を止めてまで、がむしゃらに勉強をする覚悟にまでは至っていない。

 さらに塾で教えられたことは、何かやりたいことを調べるときは、既に成功をしている人、既に調べている人に聞くとよい。これもドラッカー教授の教えだ。これなら比較的簡単に取り組める。平日にセミナー等に参加すればいいだけだ。読書より手っ取り早い。

 私が先進的な会計事務所の視察を増やしだしたのも、この教えからだ。一回5万円、10万円かかることもあるが、この方法をし出すことで当社の出来ていないことがよく分かってきた。費用を払ってもそれ以上の効果は得られていると感じる。会計業界もいずれAIに置き換わるだろうリストの上位に入っている中で、視察した会計事務所のやり方なら、今後も絶対生き残っていけるだろうと思える。


 皆さんのところは如何だろうか。冒頭のきこりのようになっていないだろうか。もし読書や調べ物が不得手な方は、私が手っ取り早くし出したように、人に聞きに行かれることをお勧めしたい。刺激が充分ある。ただそれを恥ずかしいと思うか、お金や時間がもったいないと感じるかどうかだけだ。
昨年のオープン戦で打撃不振だった大谷が、バット一本を持って、イチロー選手に聞きに行った話は有名である。その後の活躍は目を見張るものがある。もしかすると大谷の真の強さは自分を変えていく自己開発能力の高さにあるのかもしれない。


 経営者は試験を受けなくても経営者になれる。しかし、生き残っていける会社はごくわずかだ。
 漫然と今までのやり方を踏襲している会社は、のこぎりの歯が徐々に丸くなっていっていることに気づけず、次から次へと後に続く競合他社に負けて、市場から追い出されるのが宿命だ。変化を恐れず立ち向かっていく経営者にエールを送りたい。そして自身もそのような経営者でありたい。

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