~人生先発完投~                       人生に引退はなし

1.はじめに
村田兆治さんはロッテの投手だった1982年に日本人として初めてトミー・ジョン手術を受けられました。その後36歳で復帰を果たし、その年に二桁勝利を収めました。
先日、金田正一さんが86歳で亡くなりましたが、その際に弔辞を読まれたのも愛弟子の村田さんです。
2.人生は先発完投
『誰でも人生という大切なマウンドに立っている。簡単に降板するわけにはいかない。力の限りを尽くして幸せな人生を完投したい』というのが座右の銘です。
私は野球、みなさんは経営をされてたくさんのご苦労があったと思いますが、色んな壁を乗り越えてきて今日があります。限りなき挑戦をしてきて、なおかつ引退をしてはいけないと古希を迎えた今、改めて思います。
ベストを尽くし精進を尽くす。若い時に頑張らないと次の壮年期を迎えたときに頑張り切れません。人間は、若い時に足跡を残してきた人から学んで知恵をもらい成長します。努力、忍耐、根性と実行力。そして本番では自分を信用しないと勝てないということを今でも肝に銘じています。私たちにはこれを次の世代に伝え、背中を押してあげる責務があると思っています。
3.成長と信念
名選手というのは成績を残した選手です。いくら高校の時に甲子園に行って、鳴り物入りで入団し、期待されていたとしても、成績を残せないと信頼はなくなっていきます。
私は、うまくいかないときに文句を言っていたことがあります。しかし、大事なのは文句を言うならやるべきことをやってから言うことです。そうすると必ずチャンスがやってきます。味方のエラーで腐って人のせいにしたくなることもありました。しかし人のせいにしてトップスターになった人はいません。あと少しで勝ち投手になれる試合で交代を命じられた時、私はボールを離しませんでした。400勝している監督に対して「仕事ができなかったら給料はいりません」と言いました。逆らったらクビになるかもしれないことも覚悟していました。その時の返事は「好きにしろ」でした。やっぱり金田さんは偉大でした。どんな相手に対しても自分の信念は決して曲げません。もし間違っていたらその時は頭をさげ、次から改善します。
プロに入る選手はみんなそこそこいい球を投げます。バッターが入ったときに緊張感や駆け引きもある中でどれだけやれるかを試すことで自分に足りないものに気づくのです。
あの時きつかったけどいい思い出になった、というのは若年の時に継続的に頑張ったかどうかによります。その結果によって壮年になったときに差が出ます。若い時こそ夢と希望と勇気を持ってほしいと思います。
4.今できること
現役を退いてからは、離島甲子園の開催に力を入れています。離島の次世代を担う人材を育成することを目標に全国の離島を巡り開催しており、今年で14年目を迎えます。地理的環境から島外との交流機会の少ない全国の離島の中学生が一堂に会し、野球を通じて「島」と「島」の交流を図ることにより、新たな人間形成や健全な青少年・少女の育成を促進することで、将来を通じた離島地域の振興に寄与することを目的としています。
5.おわりに
 『青春とは人生のある期間を言うのではなく心の様相を言うのだ。優れた想像力、逞しい意思、強打を退ける勇猛心。理想を失うときに人は老いる。情熱を失うときに精神は萎む。』
 人のために行動し信頼を得て、いつまでも挑戦を続けていただきたいと思います。

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