燕

ぷちえっち・ぶちえっち8 お医者さんごっこ

この連載はちょっと笑えるちょっとエッチなエッセイです。
もう随分昔の話である。
僕が小学校1年生の時だった。近所に住んでいる圭子ちゃんという子と、いわゆる「お医者さんごっこ」をしていた。
 僕たちはそのものずばり「エッチごっこ」と呼んでいた。圭子ちゃんがパンツを脱ぎ、ベッドの上に横たわる。僕は圭子ちゃんのあそこを観察し、ちょっと開いてみたり、ボールペンや鉛筆でツンツンしたりする。次は僕の番である。僕はパンツを脱いでベッドに横たわる。圭子ちゃんが僕のあそこをひっぱったり、ちょっと皮を剥いてみたりする。
 圭子ちゃんは、小学校1年生であったが、年長のお姉さんがいた。明星や平凡などの雑誌が家にあり、スターの恋の噂話などに興味があるませた子だった。エッチごっこも圭子ちゃんの発案だった。
お互い、まだ性に目覚めるはるか以前であった。性的興奮というのは感じず、ただ、自分とは違うあそこの構造を興味深く見ていた。子供ながらに何かいけないことをしている、という意識はあり、むしろそちらのほうにドキドキ感があった。
ただ、3回ぐらいで僕はすっかり飽きてしまった。肌に線が一本入っている程度で、特に複雑な構造をしているわけでもなく、みるたびに変化があるわけでもなく、見飽きたのだった。

そんなある日のことである。
 僕の家で遊ぼうということになり、エッチごっこをしようという流れになった。その時は、僕と、圭子ちゃんのほかに、美香ちゃんがいた。
 美香ちゃんは近所でピカイチの可愛い子である。目が大きく、鼻筋が通っていて、肌が白く、ちょっと外国人の女優さんに似ていた。一方の圭子ちゃんは、まあ、普通であった。圭子ちゃんとのエッチごっこには飽きていた。しかし、美香ちゃんがいるとなると話は別である。美香ちゃんのならばぜひとも見てみたい。(世の女性のみなさん、すみません。男はこんな小さなころからバカです。)
 鬼ごっこをして、捕まった人がベッドに横たわり、パンツを脱ぐ役をやる、ということに決まった。僕は俄然張り切った。なんとか美香ちゃんを捕まえようとした。
 しかし、エッチごっこ初心者の美香ちゃんは、本気で「キャーキャー」言いながら真剣に逃げ回った。恥ずかしかったのだろう。僕はそのかわいい悲鳴に刺激され、さらに張りきった。何としても美香ちゃんを捕まえる、と気合が入った。
 すると、圭子ちゃんが邪魔をしてきたのである。美香ちゃんと僕の間に立って、わざと捕まろうとするのである。しかし、悪いけど今は見慣れた圭子ちゃんより初めて見る美香ちゃんである。圭子ちゃんを避けて美香ちゃんを捕まえようとする。逃げる美香ちゃん。追う僕。掴まろうとする圭子ちゃん。「キャーキャー」「ワーワー」言いながら、追いかけっこをしていると、
「あんたたち、何してるの!」
ふすまががらりと開いて、お母さんに大声で叱られた。僕の美香ちゃん捕獲作戦は未遂に終わったのだった。
 その日の夜、僕は父親と母親に、怒られるというよりも諭されるように言われた。
「男がおちんちんを人に見せるのは恥ずかしいことなんだよ」
「もうエッチごっこはしてはいけないよ」。
その言葉通り、もうエッチごっこはしなかった。
 美香ちゃんはやがて成長し、高校生の時は他校にも名が知られるほどの美人となる。美香ちゃんを見るたびに、かえすがえすもあのときに美香ちゃんを捕まえていれば、と後悔するのが男の性なのであった。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?