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(アツギタイツの件)炎上を踏まえて、PR企画の問題点・改善点を考える

はじめまして、広告代理店で働くアベチャンと申します。

今プチ炎上しているアツギ(ATSUGI)のタイツのPR企画ついて、
問題点や、こうしていればよかったのでは?という改善策など
頭にぼんやりと浮かんでいることを書き連ねていきます。

この記事はほとんどが私の主観になります。
内容に誤りなどがございましたら、訂正しますのでお手数ですがご連絡くださいませ。
 @unk3t

追記:思ったこと全部書いたらすごく長くなっちゃいました。
お時間あるときに流し読みしてくださると嬉しいです。

■ この騒動をざっくりまとめると

タイツの日(11/2)にちなんで、女性向けのタイツなどを販売する「アツギ」が、
人気のイラストレーターにタイツを履いた女性のイラストを発注、投稿を依頼
イラストが女性を静的に消費しているのでは?と、疑問の声が上がる

※イラストレーターさんたちは、恐らくアツギからの依頼どおり、または確認を経て書いたと推察し、
今回の件でイラストレーターさんに責任はないと考えます。

■ 問題点1.イラストのターゲット層とタイツの購入層のズレ

まず、今回の騒動で一番問題に感じるのが、
イラストのターゲット層とタイツの購入層がズレていること。

アツギの公式サイトを見て分かるとおり、
アツギのタイツは女性が日常的に使うものとしてして売り出していることが推し量られます。

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一方で、投稿されたイラスト群、ならびに投稿時のキャプションを確認していくと…

購入層に向けに発信されたイラストというよりは
どちらかというと、「購入層を性的な対象に捉える層」に向けて発信されているように感じます。

もちろん、次のイラストのような、購入層を性的に見ていないであろうイラストも投稿されています。

※どこまでが性的かは主観ですが、私はこの二枚は性的でないと感じました。

ですが、少しでも「アツギの購入層を性的な対象に捉える層」に向けて発信されたイラストが混ざっている時点で、
アツギの購入層と企画のコンセプトがずれてしまい、
この企画が購入層から受け入れられなくなる要因になってしまうのです。

長いし伝わりにくくて申し訳ないですが、これが第一の問題点に感じます。

■ 問題点2.商品の情報が伝わりづらい

続いて感じる問題点は、イラストだけでは何の商品のPRなのか伝わりづらいこと。

今回、まずイラストレーターさんがイラストをツイート。


公式がイラストを引用RTして、
商品の情報を伝える形をとっています。

ですが、引用ツイートを目にする人は、
おそらくアツギの公式アカウントをフォローしている人ばかりなのではないでしょうか。
(好きなイラストレーターさんの絵の引用リツイートまで見に行く人はそう多くないでしょう。)

せっかく実商品にちなんだイラストを描いてもらったのだから、
イラストレーターさんが発信するツイート内で

⚫︎ この企画はどのアカウントが主催で
⚫︎ イラストのタイツはなんて言う商品名で
⚫︎ どこで購入できるのか(ショップのリンク)

まで説明するよう、
アツギがイラストレーターさんたちに投稿文までしっかり依頼していたなら、
より多くの人に自社商品の宣伝をできていたのではないかと思います。

人気のイラスレーターさん達に依頼したと言うこともあり、多くの目に留まったことと思いますし…。(どんな層がRTしたのかはさておき)

あと、欲を言うなら、ショップのURLはAmazonや楽天内の公式ショップのリンクだと購入者のハードルも下がって嬉しいですね。

中抜きなどの理由で自社サイトのショップを使っていると思うのですが、消費者側としては購入者情報の新規登録がめんどくさいんですよね〜(;ω;)

■ 問題点3.企画を投げっぱなしにする

今回の企画で最後に表立ってツイートされているのは、参加していたイラストレーターさんでした。

投稿時間は11/2の21:04。

一方で、アツギの最後のツイート発信は…

引用RTでの宣伝が19:31。

そう、企画が投げっぱなしになってしまっているんですね…

報酬を支払っているとはいえ、参加してくれたイラストレーターさんはもちろん、
便乗してくれたフォロワーさんへのお礼だったり、
タイツの日について最後に言及して、しっかりタイツの日を締めるべきではなかったのかなぁ…と思います。

■ 炎上をもとに改善策を考える

それでは、今回のアツギの企画は、どうすれば購入者層にマッチした企画になっていたのでしょうか?

また、女性の性的消費という問題を解決する以外にも、できたことはあったはず。

…などなど、以下の文章は全て「私が担当してたらこうしてた」という、自己満足な改善例です。

▽ 1.まずは自社商品の購入者層をしっかり分析すべき

まず、そもそも今回の企画が購入者層の真逆にアプローチしてしまい、物議を醸していると考えられます。

⚫︎ 購入者は、どんな世代が多いのか
  (しっかり購入者層にペルソナを絞る)
⚫︎ 想定される家族構成やタイツ一枚にかける平均額
⚫︎ その購入者たちは、普段のタイツにどんな課題や関心を抱いているのか
 (コーディネート、破れにくいタイツはどれか、どのデニールにどんなメリットがあるのかとか…)
⚫︎ 企画を通して、購入者に何を訴えたいのか
…などなど。

誰に向けた、誰のための企画なのか、まずはスジを通しておきたかったですね。

▽ 2.購入者が関心ある企画にしよう

前項のリサーチを踏まえて、よりユーザーの興味関心に触れる内容にすると、
ぐっと既存ユーザーの心を掴んだり、新規顧客の獲得につながったと思います。

⚫︎タイツ・ストッキングの女性の脚のイラストを公開

より

⚫︎ アツギの人気タイツベスト10ごとの、コーディネート例をイラスト化

のほうが、同じイラストでも購入層にとって有益な気がしませんか?

▽ 3.イラストレーターのファン層も分析するようにしよう

今回のようにイラストレーターさんを起用する場合、イラストレーターさんのファン層までしっかり見ておきたいところです。

例えば、普段女性のセクシーなイラストを描かれることが多いイラストレーターさんは、ファン層も必然的に男性が多いと推察できます。

このファン層はアツギの購入層と真逆なので、
アツギの購入層がイラストレーターさん経由でタイツを購入することは少ないのでは?

また、ファンがイラストレーターさんのPRツイートをリツイートしても、
購入層のタイムラインには届きにくいのではないかな、と感じます。

※購入がゴールじゃなくても、PRする層を間違えると、PRの意味が薄れてしまうように感じます。

例えば、女性誌やファッション誌でよく挿絵を書くイラストレーターさんや、漫画家さんに依頼していたら、
もっと購入層にファン層も近づいたと感じます。

▽ 4.「ラブタイツ」にもっと意味を持たせよう

企画内でよくラブタイツという言葉が使われていますが、
結局ラブタイツとはなんだったのか…?

企画応募のためのハッシュタグも3つあり、
ラブタイツの必要性が薄れてしまっているので、せっかくの独自のハッシュタグに、もっと意味合いを持たせてあげたいところです。

例えば、タイツの日にちなんでラブタイツという新しいタイツを発売したり、
タイツを使ったコーディネートを投稿する用のハッシュタグとして、
TwitterだけでなくInstagramでも定着の運動をするとか…

▽ 5.企画の最後に「まとめ」を行う

問題点内で述べた、イラストレーターさんにキャプションなどでもっと商品をPRしてもらうほかにも、

タイツの日の終わりに、企画をTogetterでまとめてみたり、
画像でタイツの日に紹介した商品の品名、価格、購入先一覧を画像でまとめたりとか…

もっとできたことがあったはず!
なにより大切なのは自社製品のPRなので、もっと商品情報の「まとめ」になることが欲しかったな、という思いです。

■ 上が暴走すると止めようが無くなる恐怖

ここまで、勢いで書いていたら朝6時。
眠る前に、私の余談を残させてください。

私が仕事で関わっているメディアで、今回のようなとある「企画」をしよう!と、運営チームが盛り上がっていたことがありました。

私はサブ担だったので、その企画の全貌を途中から知ったのですが、なんともひどいユーザーのことを考えていない、ど下ネタの「運営チームが楽しむための企画」に仕上がっていました。

予算もかけているし、さすがにメイン担当に考え直すように言ったものの、
メイン担当やそれに関わる上司まで、根拠のない「絶対成功する」に取り憑かれて、聞く耳を満たない始末。

しかも、苦言を呈すほど、「楽しいことに水を差す厄介なやつ」扱いされ疎まれてしまうんですよね…。

勝手な予想ですが、おそらく今回のアツギのタイツに関する企画も、似たような状況だったんじゃないかなぁ…と、考えてしまいます。

もしこの企画裏で人知れず戦い、そして疲弊した人がいるなら、
私はその人の全面的な味方になりたいなぁ…。

眠くて何書いてるか分からなくなってきたので、この辺で終わりにします。

おやすみなさい。