七つの子 : another heaven 7
【注意】怖い話、嫌な話が苦手な方はスルーでお願い致します。
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大学三年生のカケルには守護霊みたいな存在がいた。
顔は映画「赤ひげ」の三船敏郎似で、格好からしてどう見ても現代人ではないが、体格から察せられるその身体能力はずば抜けて高い。
守護霊と言っても常にいる訳ではなく、カケルが生命の危機にさらされた時にだけ現れるのだ。つまり神出鬼没で、コントロールの効かない「ジョジョの奇妙な冒険」のスタンドだと思って貰えれば良いだろうか。
カケルがその存在をはっきりと認知出来たのは高校生になってからだった。言葉が通じないので、とりあえず「ミフネさん」と呼んでいる。
そのミフネさんが学食にいる時に突然現れて、ある学生を指差した。たまにこういう事があるのだ。どうやら鯨に関係しているようなのだが、カケルにはまだ良くわかっていない。
ちなみにこのミフネさん、カケルにしか見えてないのである。
そしてカケルは、瞑想中の学生に声をかけた。
「何か悩みがあるなら聞くけど?」
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この家、マジ廃墟だな。あちこち傷んでるし埃と蜘蛛の巣だらけになっちゃってバッチィなー、マジ。
五年前、アイツが病んでいなかったら。
ここに住んでた家族が車を売る時にカーナビの履歴を消し忘れてなかったら。
今でも家族四人で幸せに暮らしていたのにな。可哀想に。
って、可哀想って全然思ってねーわー、オレ。笑える。
てか、アイツって言うより、オレじゃん、オレが殺したんじゃん!
あん時の感触は今思い出しても興奮するわー。エレクトもんだわー。
きこえるように きこえないように うたってあげる きみだけに きみがみるゆめ きこえないように まよいをあげる いつまでも
母親を後ろから何度も何度も刺した時の感触。
泣き喚く子供を何度も何度も刺した感触。
生きてた物が抜け殻になる瞬間。
エ〜クセレント! めっちゃ楽しいやん! めっさ興奮やん!
楽しいと関西弁になっちゃうオレ、なんでやねん!
さ、アイツが来る前に仕事仕事。
アイツのせいで計画早めて、めんどいわー。クソが。
もうちょい追い込めばアイツも、五年前のバカ同様にイカれちゃって、自分がやったこともそうじゃないことも区別出来なくなって、代打オレ、状態だったのになー。クソが。
で、今、縁の下に監禁して放置状態なのが、中古車屋のおじさんと、公園から拐って来た男の子。
そんでアイツと、目の前のこの子が追加で、四人かー。
あと三人はいきたかったわー。
そしたらカラスの子が七人揃ってマジエモいんですけど。
「はい、びゃーびゃー泣かないでねー、まだ殺ちまちぇんよー。縛って暗くて狭くて思い切り汚いところに閉じ込めるだけでちゅよー」
なーみだくんさよなーら さよならなーみだくん またあーうひーまーでー
笑える。
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真っ赤な夕焼けが綺麗な日曜日でした。
浮かんでいる雲が鯨の群れのようだな、と思っていた時、ずっと音信が途絶えていた友達から連絡がありました。
その声はとても切羽詰まった感じでした。最期の祈りのような声でした。
ボクは嫌な予感がしていたので彼を刺激するのはよそうと思いました。
彼は自分の気持ちを、今、紙に書いて残して欲しいと悲痛な様子で訴えて来ました。だからボクは近くにあったメモ用紙に彼が言う通りの文章を書いたのです。
これまで犯した沢山の過ちを全て、無にしたい
そしてボクは友達が指定した場所へ向かいました。
その場所とは、五年前に殺人事件があった、あの白い家です。
つづく
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これはしめじのお兄さんが書いた世にも怖い物語から始まった企画に乗っかった物語です。下記が募集要項(?)です。
《カーナビに残る、前所有者の住所》の設定だけ残して、あとは全部変えてくれてもいいよ👌 (どんどんゆるくなっていく企画設定) あなたなりの解釈を。 あなたなりのストーリーを募集致します🐵
僕が今書いてるものはそれほど怖くないかもしれませんが、
しめじさんと穂音(ほのん)さんが書かれたお話はガッツリ怖いので、苦手な方は本当に要注意です(笑
↓ こちらは しめじさんが書いたオリジナル(ホラー? サイコサスペンス?)小説(全9話)。
↓ こちらが 穂音(ほのん)さんが書いた別の最終話。この物語を一番と言っていいほど怖がっていた方が、さらに恐ろしい最終話を書くという現象が起きました。人の心の複雑さを垣間見れた瞬間でした(笑
七つの子(9) : another world