Abdallh Alhzrd Jr.

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百合が芽吹き始める頃に

 はじめに言の葉ありし 言の葉は神のかたはらにあり 言の葉は神なりし  先逹の少納言より懸想文をいたゞいた。  ひとめで見解いた。このふみは異國外つ國の智慧をもってしたゝめられている。おそらくは唐國よりも外にある、思いもよらぬ世界の経典を學ばれたのだろう。いづれにしてもわたしは、先逹の嗜みぶりに驚き舌をすぼませてしまった。  さてしも不思議なのは、いかなるゆゑでわたしに懸想文をお贈りなされたということだ。たゞちにお逢いして語らいあうゆかりもなく、屋敷の房でひとり、ふみをした

    百合が芽吹き始める頃に