友人T



友人T(ここではTとする)は、コンビニで買った焼きそばを食べながら、どこかに電話をかけている。
覗き込むと、原産地表示のとこに書いてある製造者電話番号にかけていた。後で聞くと、あまりにも、まずかったのでクレームを言おうとしていたらしい。


   プルルル プルルル プルルル


T「……」


    プルルル、ガチャ、

 「この電話は現在使われておりません。」 


T「ふ ざ け ん な。 お 前。」



    ガチャ




僕は、耳を疑った。
Tは「電話は現在使われておりません」の声に
キレていた。 いや、あれ機械音だろ…。

彼は少し変わっている。




そんな彼に誕生日がきた。
プレゼントを買った。カメラ付きの耳かきだ。
彼にぴったりのプレゼントだ。


僕の家と彼の家は目と鼻の、いや、舌と歯の距離ほどである。プレゼントを持った。

が、普通に渡すのも惜しく感じ、彼のバイト先に行って渡そうと考えた。
彼のバイト先まで結構な道のりである。自転車で小一時間だ。


バイトの時間まで待ち、時が来た。
よし、家を出よう。
小一時間ワクワクだった。どんな言葉が返ってくるだろう。
「ふざけんな。お前。」でくるだろうか、それとも、また違った別のなにかでくるだろうか。

着いた。




彼のバイト先は、セブンイレブンだ。
彼が、レジのところで突っ立っているのが外から見えた。
田舎だからか、時間が良くないのか、今出てきた客を最後に人影がない、これはチャンスだ。

フード&マスクをして、彼が突っ立っていたレジまで歩き、欲しくもないグミをだす。


T「120円です」

120円出す。


レシートを受け取ると同時に、
ポケットからプレゼントを出し、レジ台に置いた。

僕「ハッピーバースデー」






T「…………あざっす。あざっす。あざっす。」




僕「…」



僕は耳を疑った。目も疑った。鼻も。口も。


あざっす3回だった。驚いた様子もなく。僕の感情は「ふざけんな。お前。」だった。
が、これもまた彼らしい反応だな。

彼は少し変わっている。






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