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神の力を貰ったので遠慮なく世界を癒します (1) プロローグ
カシャン・・・カシャン・・・
動くたびに引きずる鎖の音がする。
首に付けられた首輪は鎖で部屋の隅にある鉄の杭につながれている。私は鎖につながれたままソファに座り、お茶を飲む。
私が自由に動けるのはこの鎖の長さだけ。
この部屋の中でだけ。
この世界では、それ以外の生活を私は知らない。
先ほど午前のお茶を入れてくれたメイドは出て行ったので部屋は静かだ。音楽でも聴きたいと思うが、そんな道具は
うちに猫がやってきた
現在、我が家には一匹の猫がいます。
食いしん坊で暴れん坊。そして、とても甘えん坊なミケ(仮名)
彼女が我が家に現れたのは2022年4月のことでした。もうすぐ二年経つのかと思うとビックリです。
本当に唐突にうちの家の軒先に現れました。
近所には猫が多く、オーストラリアでは基本的に放し飼いなので、きっとどこかの飼い猫だろうと軽く考えていました。
説明が難しいのですが我が家の軒先は割と広いバルコ
日本について考える。
「民主主義とは何か?」と問われたらなんと答えますか?
国民が国の主権を握る制度、と答える人が多いでしょう。だから、選挙が行われている日本は民主主義だと思っている人が多い。
でも、最近思うのです。現在の日本は本当に民主主義だろうか?と。
民主主義に必要な要素は幾つかあります。例えば、法治主義。政治家はスピーチの中で『法の支配(rule of law)』という言葉をよく使います。
もう一つ、非
【完結】神の力を貰ったので遠慮なく世界を癒します (130) エピローグ
結婚式を一週間後に控え、リオとレオンは再びブーニン地方のベルトランドの屋敷を訪問することにした。
リュシアンがエレオノーラの様子を見に行ったところ、驚くべきことにエレオノーラはすっかり農業やブーニン地方での生活に馴染んでいたそうだ。
「エレオノーラは変わった。今ならアレックスがレオンだってバレても大丈夫だろう。ベルトランド以外の男には全く興味なさそうだ」
とはいえ、リュシアンの言葉をレオンは
神の力を貰ったので遠慮なく世界を癒します (129) セイレーンの未来
その日、リオとレオンは重要人物の来訪を待っていた。リオは落ち着かず部屋の中をウロウロと歩き回る。レオンはお腹の膨らんできたリオを支えながら、そっとソファに座らせた。
「大丈夫だよ。君も知っている人だろう?」
「それでも緊張するわ。実際に会ったのは一回だけだし、それに・・・」
その時ドアがゆっくりノックされた。レオンが返事をする。
扉を開けて入ってきたのはスラヴィア共和国キーヴァ・オライリー大
神の力を貰ったので遠慮なく世界を癒します (128) 一目惚れ
リオとレオンは無事にフォンテーヌ王国のシモン公爵家に戻ってきた。アンドレやエディも帰邸して屋敷は益々賑やかになった。
ジョルジュが筆頭執事に戻り、代行で筆頭執事をしていたセバスチャンはプレッシャーから解放されたようだ。
「ジョルジュさんの靴は大きすぎて、僕では埋められません」
というセバスチャンの言葉が印象的だった。
***
戦争が終わり多くの変化が起こった。でも、全体的に良い方向に変わ
神の力を貰ったので遠慮なく世界を癒します (127) 両想い
翌日エレナはルカと職場で待ち合わせて、最初の目的地に出発した。
ルカの話だと、遠隔地で物資が届きにくい場所に首都から多くの商品を売りに来る商人がいるらしい。平民には珍しく転移魔法を駆使して多くの商品を運び、しかも利益は最低限で安価に商品を提供しているという。人々から慕われており各地を回っているので、その商人から話を聞きたいそうだ。
だから、最初の目的地はその日にその商人が来る予定の町だと言う。
神の力を貰ったので遠慮なく世界を癒します (126) スラヴィア共和国
キーヴァ・オライリーが正式に大統領に就任してから、エレナの仕事は更に激務になった。朝から晩まで書類の山に埋もれている。
コズイレフ帝国が崩壊し、スラヴィア共和国になってから約二か月。新政権にはまだまだ問題が山積している。
まず、元皇族・貴族の扱い。
彼らは心底愚かであるとエレナは悟った。平民になり自活することを受け入れた元皇族・貴族はすぐに解放され、多少の助成金を受け取って市井での生活を始め
神の力を貰ったので遠慮なく世界を癒します (125) 自由
コズイレフ帝国はイヴァン皇帝の独断による無謀な戦争の結果、反体制派のクーデタにより崩壊し、共和国として生まれ変わった。国名はスラヴィア共和国になる。第一回大統領選挙が行われ、初代大統領には何とキーヴァ・オライリーが選出された。
(いや~、ホントびっくりだったよな)
アントンは大きく息を吐いた。
驚いたがクーデタを勝利に導いたのは間違いなくキーヴァだった。彼女の強さと美しさに民衆が強烈に惹きつ
神の力を貰ったので遠慮なく世界を癒します (124) 幸せとは?
リオとレオンはあまりに壮大な話に言葉を失った。イーヴが冷めたお茶を下げて、熱いお茶を淹れてくれる。
リオは村長とイーヴを気の毒に思った。だって村長は何も悪いことしてないよね?逆恨みみたいな嫉妬のせいで愛する人を殺されて、その後も何かと邪魔されて・・。
村長はそんなリオの表情を見てクスッと笑うと話を続けた。
「我は様々な文明の滅亡を見てきた。局所的なものから、世界全てが崩壊するような文明の滅亡
神の力を貰ったので遠慮なく世界を癒します (123) 怨念
「ヘリオス!ヘリオス!おい・・・・大丈夫か?」
アイオンが心配そうにヘリオスの肩に手を置いた。
「最近、ずっとうわの空だぞ・・・まぁ、無理もないが・・」
イーヴが殺されて以来、大丈夫な時はない。あるはずがない。
ヘリオスは沈黙で応えた。
アイオンは気まずそうに「イーヴのことは・・・すまなかった・・。我がポレモスがどんな男か見破れなかった」と謝罪する。アイオンは何度も繰り返し謝罪した。彼が
神の力を貰ったので遠慮なく世界を癒します (122) 村長の物語
村長であるヘリオスは語る。
『セイレーン』という名は、我々が暮らしていた惑星の名前であった。セイレーンの住民は魔法に優れ、非常に高度な文明を作り上げた。
魔法だけではない。魔法の高精度化と同時に科学技術も大きく発展させた。死者を蘇らせ、遠くの星へ行くことも可能とするほどに。
望めば何でもできる力があった我々の文明は、自分たちに不可能はないと驕ってしまったのかもしれない。魔法に優れ、科学技術も
神の力を貰ったので遠慮なく世界を癒します (121) スタニスラフの想い
後日、リオとレオンは村長の家に招待された。セイレーンの村は無くなったが、村長は家を修理して相変わらず同じ場所に住んでいる。
リオは以前のように村長の羽根を使って転移した。イーヴに会うのは久しぶりだ。村長に尋ねたいことも山ほどある。少し緊張しながら、いつも通り仁王立ちの村長に挨拶をした。
「お久しぶりです。本日はお招きにあずかり誠にありがとうございます」
「堅苦しい挨拶はいい。後片付けは落ち着い
神の力を貰ったので遠慮なく世界を癒します (120) 結末
翌日リオが目を覚ました時には既に夕方の五時になっていた。時計を見て朝五時だと思って二度寝しようとしたら、傍に居たレオンにクスクス笑われた。まさかこんなに長時間眠れるなんて思わなかったよ。
「リオは昨日大活躍だったからね。お腹の赤ちゃんのこととか、色々心配だったんだが、文献通り純血種のセイレーンの胎児は強いらしい」
レオンの台詞にちょっと反省する。かなり無理しちゃったな、と自分でも思うから。赤ち