スプリンターズS 走法分析

どうも。あばたです。
今週は秋G1のスプリンターズSですね。早速出走予定馬の方の分析を行っていきましょう。

今回からは、noteでの印発表はやめる方針とします。やはり馬券的には当日の馬場みて変えていかないと対応できませんので、単純に走法からどんな馬が推せるかなーってな緩いコンテンツとしてやっていきます。


<全体の走法適性マトリクス>

スプリンターズS

表の見方を簡単に説明します。
上に行くほど、前脚を伸ばした走り方をしており、下に行くほど折れて地面を叩く走り方になります。また、右にいくと一完歩当たりの移動距離が大きく、左に行くほど小さくなります。名前のプレートの色はクビの位置を表しています。赤くなればなるほどクビ高で、青くなればなるほどクビ低です。灰色はニュートラルです。
基本的にはスピードに乗ったラスト3F部分での印象をピックアップしていることが多いです。

適性ラインは赤枠ですが、さほど気にする必要はありません。どちらかというと、G1となるとやはり能力勝負になりますので、このマトリクスを重視するよりも、展開と個別のキャラクターに着目する必要があるかと思います。

しかしながら、気にする必要はないといえどもですね、何やらおかしい現象が起こっているようです。何がおかしいか気づいたら結構走法マニアですね。
座標の中心は1200m戦基準での平均位置くらいになるように設定していますが、分布全体的に右側に寄っています。これは潜在的には1400~1600ぐらいでも成績が残せそうな走法の馬がスプリント戦線に降りてきているためでしょうか。

タイセイビジョン・ミッキーブリランテ・レシステンシアなんて、絶対に1200で!というタイプではないですし、何らかの力が働いてますかねー。邪推ですかね?。ああ、この3頭の生産牧場は(省略)


さて、展開を決めるのはジョッキーがどう動くかなんですけども、追走時にどれくらいの自然なスピードがあるのかを確認してみましょう。
各馬の調子のいい時と思われる1200mでのレースをピックアップし、ピッチ測定を実施しました。スローでキャプチャして、フレームを数えるあの地獄の作業ね。


<前半2~3Fの走法能力マトリクス>

スプリンターズS_追走

ストライド部分は官能評価なので、私の目による誤差はありますが、ピッチは正しく測れていると思います。どうでしょう。基本的に脚質通りに並んでいるんじゃないでしょうか。最初の図と違い、縦軸にピッチ速度を取っています。点線がおよその等速線になります。ファストフォースが思ったよりも基礎スピードがありそうですね。

脚質通りに切り分けられたのを確認しましたので、先団・中団・後方に分けて、一番最初の走法マトリクスを再確認してみます。


<先団の分析>

スプリンターズS_先団

先団想定の馬についてはトビが大きい馬が多いですね。何か考察できそうなことはあるでしょうか。
まず、トビが大きい馬は基本的に加速が遅いため、ゲート直後の位置取りで後れを取る場合があります。ハナを切りたいのはモズスーパーフレア・ビアンフェでしょうか。この2頭の位置取り合戦についてはモズスーパーフレアに軍配が上がりそうです。もしモズが外枠ひいたら、一気の脚で内までカットインしますので、これで気性の危うい馬については火が付く可能性もありますね。ビアンフェについては、ストライドも大きく叩き気味でキレのない走法ですので、応戦した時点でかなりの体力を使います。共倒れパターンはどこかでみたことありますが、基本的にジョッキーとしては競り合いたくはないでしょう。メイケイエールも同様です。後ろから爆弾2頭が付いてくる可能性があるモズスーパーフレアですが、不発弾ならばアドバンテージはでかいでしょう。メイケイエールに関しては、見た目以上にギアの重さを感じるため、そもそも置いて行かれる可能性も。
おそらく、1歩控える形になるレシステンシア・ファストフォース・ロードアクアは、前述2頭の影響を受けにくい外目の枠の方が危険性は低いでしょうか。もしくはいっそラチ沿いに付けられるような極端な内か。。位置関係は大事になりそうです。
なんにせよ、このグループの中からは機動力のある、トビの控えめなタイプの方が今回条件に合うような気がします。ストライドの大きい馬が不利を受けたり、位置を無理にとりに行ったりという形になると非常に難しいところがありますので。


<中団の分析>

スプリンターズS_中団

だいぶスペースにゆとりがあるんじゃないでしょうか。
先団からメイケイエールが、後方からジャンダルムあたりがこの位置に来る可能性がありながらも、基本的にストライド寄りの馬にとっては走りやすい隊列になりそうです。となると、行き脚がつけばこのグループは絶好の狙いどころになりそうですね。気を付ける点はクリノガウディーの外側でしょうか。モタれ癖があるため、何かの拍子で外に振られる場面があってもおかしくありません。


<後方の分析>

スプリンターズS_後方

多くねえっすか?しかも4つの走法ゾーンに分かれてしまいました。基本的にこのゾーンは切り捨て御免でもいいんですけども、クリノガウディがいることで、外にモタれた瞬間にいくらかの空きスペースが馬場真ん中位にできるかもしれません。逆に言うと、中団が自由に動ける状況になりやすい脚質分布ですので、大外が厳しいです。これならば私が狙うとしたら左側の2頭ですかね。ある程度の機動力を持ったピッチ走法で、坂を苦にしないタイプの方が狙いやすい感じはあります。


<ラストスパートの走法能力マトリクス>

スプリンターズS_スパート

ラストスパートについてもピッチ×ストライドの分析をしておきます。できるだけ坂を省いて、トップスピード時の格好を評価しています。ピッチはスロー再生で(省略)
また、追走時からのピッチとストライドの変化を青矢印で表しています。追ってから、ジャンダルムなんかはピッチだけどんどん上がっていき、ラヴィングアンサーはストライドが伸びていくイメージです。レシステンシアは不正襲歩の影響でストライドの安定性が低いため、横に広がったようなネームプレートになっています。詳しくは下の記事をご確認ください。

https://note.com/abata_ayaaya777/n/n790a1aa1301d

急坂のことを考えると、ピッチが上がっていくタイプの方が有利です。ただし、3角入りからもう大スパートが始まるようならば、ストライドが伸びるタイプも一考。


<各馬個別の評価>

ここまでの内容も踏まえながら、各馬のキャラクターを分析し期待値評価をしていきます。走法適性の数字については、適性マトリクス+手前変えや安定性より決定しました。最高評価値は5です。

・アウィルアウェイ
 大トビのスピード優位な走法の差し馬です。昨年3着の実績を評価しつつも、走法適性的にはバッチリ合うとは言いづらいタイプですね。ギアは重く、ストライドを伸ばしてスピードを上げるタイプで、平坦コースに適性がありそうです。昨年は外差しバイアスの恩恵が大きかったと考えます。基礎的なスピードにも陰りが見え、脚が溜まらない可能性も。大外一気は今回減点対象と見ていますし、思い切った割引評価をします。

総合評価:1
走法適性:2


・エイティーンガール
 こちらはピッチを上げてパワーで押し上げてくるタイプの差し馬ですね。前前走は非常に硬い、クッションの利かない走法で今までとあまり変わりないイメージでしたが、前走キーンランドCでは非常にしなやかに走っていました。
追ってからピッチは上がるけど、ストライドが伸びずに地面を叩くため、キレ負けるタイプのイメージで、純粋な洋芝巧者かなぁと見ていましたが、前走は追ってからピッチを上げ、順にストライドが伸びていき、今までと違った面を披露していました。この走法が維持できるようならばやれてもいいでしょう。走法適性マトリクスでは少し左下の方に記述しましたが、前走だけ切り取って見ればモズスーパーフレアと同じくらいの位置においてもいいかなぁと思いました。

総合評価:2.5
走法適性:3


・クリノガウディー
クビは相変わらず少し高いですし、向きが少し良くないかなぁという印象。また、左手前の走法安定性に難があります。だいぶ矯正された今ならばどうかというところ。具体的に言うと、左手前の走法時の右前脚の着地時の動作がぎこちなく、余計な力が入ってしまっている印象を受けます。
トビの方向がやや上向きの力が強く、上下の動きが大きいため、直線を向いてからの一伸びについては他馬に比べると少し劣る可能性があります。この手の走法は中京でドハマりしますが、その中京でレシステンシア・ピクシーナイトに完敗となってしまいましたし、強烈に推すことはできません。

総合評価:2
走法適性:2.5


・シヴァージ
こちらも評価としてはアウィルアウェイと似ていて、加速にやや時間がかかる走法をしています。基本的な中山適性はそこそこ有りそうですけども、展開利が受けにくいですね。内を付くことも考えられますが、やはりトビの大きさから、1度振りを受けると立て直しが難しいタイプです。非常にうまく立ち回れればというところ。能力的には3着までにはギリギリ足りている印象です。

総合評価:1
走法適性:2


・ジャンダルム
出遅れ大魔王。後手を踏まなければ手薄な中団に位置取ることも可能な機動力があります。走法的には、今回メンバーの中では異質で、極端なピッチ走法となり小回りやリカバリーが効きやすいタイプです。ただし、それを帳消しにしてしまう気性の問題などなど・・・
軸にはお勧めできませんが、しっかり走れた場合に上位争いをできる可能性は秘めた走法適性馬です。中山1200を1:07前半で走れているので、評価しておいていいでしょうし。

総合評価:3
走法適性:3.5


・タイセイビジョン
この中に入るとやはりギアが重いですし、追走も大変そうに見えます。右回りの方がいくらかスムーズに手前を替えますし、コーナリングもいいので、その分は期待できます。ただし、やはり進路的に厳しいですし、走法的な適性もギリギリかと思いますので、あと一押しほしいところ。

総合評価:2
走法適性:2.5


・ダノンスマッシュ
スプリンターとしての欠点は走法からは特に見当たりません。バランスの取れた形ですし、追えばピッチが上がり、連動して徐々にストライドが伸びてくる形で綺麗な走法です。一つ心配点をあげるとすれば、スタート時やや後方に体重を乗せがちな癖があることで、ゲートの出はいい方ではありません。位置取りの失敗がなければ安定して走れるでしょうが、出負けして後方からだと、突き抜けた武器があるわけではないので差し損ねる可能性は十分にあります。

総合評価:4.5
走法適性:3


・ビアンフェ
前がかりなのは気性のせいだと思います。テンの脚はそこまで早くなく、クビ高で大トビですのでかなり頑張って脚を使って前に行くってのがポイント。同型多数な今回は展開的にも厳しいですね。走法的にはギリギリ適性ないというところでしょうか。僕個人の意見としては左回りの方がやや綺麗に回れている印象。右回りのコーナーはやや窮屈で気になります。

・総合評価:1
・走法適性:2.5


・ピクシーナイト
前走は目一杯の仕上げですので、お釣りがあるかどうか・・・
それを差し引いても正直買いたい馬です。前走、セントウルSでは最終コーナーから直線ラストまで左手前1本で、右手前に変えないままグングン伸びてきました。基本的に右手前の方が力強さがあり、クビの位置も少し落ち着く馬なのでこれは驚きました。これの解釈は2通りできて、
①不器用で、一杯一杯の中では手前を替えることはできなかった。
②苦手な手前1本での舐めプでもG2クラスなら勝ち負けに持ち込めるモンスター
今回、右手前でコーナーを回りますし、中山なのでもっとスピードに乗って直線に向くわけですから、基本的に最後の手前変えは無理だと思ってます。それを差し引いても勝ち負けになるか。これが非常に判断が難しい。

総合評価:3.5
走法適性:3


・ファストフォース
これはなかなか面白いと思っていて、トビはそこそこ大きいですし、何より前前走めちゃくちゃ早い流れを勝ち切っているので、行き脚についての問題はクリアできそうな先行馬ですよね。走法的には、近走の形を見ると重心が少し下がって安定性が増したような印象を受けました。パワー的には少し心もとないので、急坂がどこまで行けるかどうかがポイントになりそう。ラストスパートで追ってからのギアは大したことないので、流れに乗せてどこまで食らいついていけるか。穴馬を前目から選択するのは競馬のセオリーですし、一考ですね。

総合評価:2.5
走法適性:2


・ミッキーブリランテ
少し1200のG1は忙しいかなぁという印象も受けますが、適性的には十分範囲内でしょう。追ってからの回転は十分に速く、トビは綺麗で大きい形。今回、中団が手薄と見ているので、この馬にとっては道中も楽に大きく身体を使える条件になるかと思いますので、最後の進路次第でしょう。
追切の評価的にあまりいい話を聞かないのが気がかりなところですが…
手前の所作・右回りのコーナリングは標準レベルといったところですので、あと一押しのなんらかの助けは欲しいところですね。坂はしっかり上れルような馬力のある走法タイプですので、この点は推せるかと。

総合評価:2.5
走法適性:4


・メイケイエール
困ったやつ、登場。走法的には素晴らしいものを持っています。しっかり走れているときはトビは大きく綺麗で、回転力もそこそこ持っている。しかしながら、まともに走ってきている区間を抜き出しても、G1レベルになるとトップクラスのスピード能力とは言えないのでは。レシステンシアと比べてしまうと間違いなくピッチ速度は劣るため、気性の問題を出さなくてもG1の流れに乗って逃げ・先行というのは難しい可能性があります。個人的にはギアは1段隠し持っていそうな気がしていて、差しに回れれば面白そうなんですが。ラストスパート時に脚が余っていないレースが多くて、この部分の走法評価をなかなかさせてもらえませんが、追走時の形を見る限り、スピード優位なタイプで、パワーは見た目ほど感じないかなぁという感想です。中山の条件が合うのかは、私としては疑いの目を向けています。

総合評価:2
走法適性:1.5


・モズスーパーフレア
脚質的に逃げられなかった時の惨敗は仕方ないとして、この馬の走法は中山1200mの条件にバッチリ合っていると断言したいです。
スピードとパワーのバランスがとれており、回転力主導でスピードを上げていく形は様々な条件で走れますが、特に素晴らしいのは場面によって脚の使い方が変えられる起用さを持っている点です。スタート直後はやや掻き込むような形で加速に有利な走り方をし、一定のスピードに達したら脚が伸びて持続させる形に変わっていくのが非常に特徴的です。ただし、コーナリングの際に内目を気にする癖があるのか、ラチなどを目印にして身体を使っているのかもしれません。(左足の着地が乱れる場合がある。)確かに、これだけのスピードで回ってくる馬なので、目標物がなかったら超怖いよね。気持ちわかるわかる。これはもう関係者みんな分かっているんで、特に問題ないと思います。あとはどれくらい気持ちよくいけるか。
展開次第ではありますが、走法適性で言うと一番推しておきたい馬です。

総合評価:4
走法適性:4.5


・ラヴィングアンサー
これは中京巧者の走り方の馬です。後方からになるので、まず嚙み合うかどうかですが、大外一気は厳しい。
そして、前走走法適性的なバイアスの助けがありながら8着なので、なかなか足りるとは考えづらいです。

総合評価:1.5
走法適性:1.5


・レシステンシア
https://note.com/abata_ayaaya777/n/n790a1aa1301d

まずは上記記事をご確認ください。この影響があるかというと正直微妙ですが、スプリントG1ではコンマ数秒のロスが命取りですから、少し割引くことにしました。しかし、強い馬に強いジョッキーが継続騎乗。前走は注文通りの内容で、このレースができたら必ず1200mで勝ち負けになる!というような強者っぷりを見せつけてきました。やはり、ストライドとしてはかなり大きい馬で、メイケイエールやビアンフェといった不確定要素2頭の影響を喰らうと、立て直しについてかなり痛手になるというのは頭に入れておきたいところ。
走法を純粋に見てみると、どちらかというと坂がプラスになるタイプとは思えませんので、そこがどう出るかですね。しかし、適性枠のラインから右上にずれることは、走法理論界隈ではそんなに悪いことではないという認識ですし、能力マトリクスの方では全然足りているので、適性を大きく割り引くことはできないという認識です。

総合評価:4
走法適性:3


・ロードアクア
走法の形だけ見ると適性はバッチリハマるように思えますが、回転力で明確に見劣りします。正直ここは家賃が高いと判断するのが賢明です。

総合評価:1
走法適性:2


まとめ


得点上位ピックアップ
8.5 モズスーパーフレア
7.5 ダノンスマッシュ
7.0 レシステンシア
6.5 ピクシーナイト
6.5 ジャンダルム
6.5 ミッキーブリランテ
5.5 エイティーンガール
4.5 クリノガウディ
4.5 タイセイビジョン
4.5 ファストフォース


以上、長文でしたが最後まで読んでいただきありがとうございました。