見出し画像

008【2030年ジャック・アタリの未来予測 ―不確実な世の中をサバイブせよ!】を読んで


書籍情報

書籍名:2030年ジャック・アタリの未来予測 ―不確実な世の中をサバイブせよ!
著:ジャック・アタリ
訳:林昌宏
発行日:2017年8月


内容判定

●読みにくさレベル……【2】
●参考文献……注付き、巻末に参考文献の一覧が10P程度
●内容の偏り……欧米的
●内容ページ数……約200P


概要

 貧困、気候変動、格差、教育、医療…などの大きいトピックからやや小さいトピックまで、第1章では客観的な立場から数字を元に現状を説明している。もちろんこれは2017年の本なので(大きな区分で言えば)コロナ前の話であることには留意しなければいけないが、ここで挙げられているトピックはコロナ禍以降も世界の問題点として議論されている内容である。
 第2章では簡潔に著者なりの視点から近年の振り返りと現状の説明、差し迫る危機という未来に向けての提言を数ページにまとめている。これまでは良いところがあった中で徐々に悪い部分が目立ってきた。つまりは2030年には悪い部分によってなんらかの不具合が起こるだろう。
 第3章では未来に関する変化から述べられている。イノベーションのワクワクするような側面、例えばIoT、3Dプリンター、拡張現実、ブロックチェーン、人工知能、セマンティックウェブ、その他には健康や教育、労働、住宅、水問題、農業、エネルギー、自動車、航空、娯楽、芸術、共有経済、リサイクル、などが語られ、それと相対する大混乱のシナリオも提言される。無秩序化、高齢化、地域的な人口増加、環境問題、雇用の喪失、格差と貧困、インフラの弱体化、民主主義への批判、公的債務の膨張、いくつかの世界大戦のシナリオ…。
 第4章では第3章の後半をふまえて明るい未来を作り出すためには何が必要なのか、著者であるジャック・アタリが考える10段階の論理的に明確な精神的道筋を紹介している。


どういう人が読むべきか

 この本を2023年現在に読む必要があるのか?と問われると、現在にも通じる問題点を指摘している本書は一読の価値はあるように思える。もちろん、知識人としてのジャック・アタリがどのような予測をしているのか、もしくは後半部分のジャック・アタリの考え方を知りたい、というならば十分にオススメできる。


キーワード

・ゲオフィリア
・シェアリングエコノミー
・格差
・マイナス金利
・セマンティックウェブ


以下、感想

 冒頭の、市場のグローバル化が進んだ結果、マネー(お金)が社会を支配することになり、すべての価値が価格で表示されるような世の中になったけれども、私たちやその社会全体に安全や自由をもたらすはずの

ここから先は

2,698字

¥ 150

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?