015【地球の未来のため僕が決断したこと】を読んで
書籍情報
書籍名:地球の未来のため僕が決断したこと
著:ビル・ゲイツ
訳:山田文
発行日:2021年8月
内容判定
●読みにくさレベル……【2】一般向け
●参考文献……巻末に10Pほどの一覧
●内容の偏り……技術者として温暖化にどう対処するか
●内容ページ数……約300P
概要
まず、この本はビル・ゲイツが書いたものであるということ。おそらくこういう本を手に取る人でビル・ゲイツを知らない人はいないだろう。有象無象の気候変動関連書籍の中でもかなり読みやすそうに思えるタイトル。この本の内容は、「はじめに」で述べられているように、このまま人類が変わらずに生活していくならば、気候変動は悪化の一途をたどり、人類はほぼ確実に壊滅的な影響を受ける…と、ビル・ゲイツ自身が語り、これらの悲劇を避けるために何が必要で、こうした危機的な状況を変えられると信じている理由はなにか、ということを論じている。
ビル・ゲイツを思い浮かべる人は多分最初に、マイクロソフトの設立者でものすごいお金持ち…ぐらいはイメージできているはずだが、本書を読めばゲイツ財団を率いて慈善活動を行っている、という一面があることがわかる。というよりも、近年はすでにマイクロソフトのイメージよりも、その肩書きを通じての慈善活動に取り組むイメージのほうが一般的かもしれない。パンデミックへの提言やコロナ禍での対応などは記憶に新しい。
つまりは、気候変動関連書籍ではあるものの、慈善活動を通してエンジニアやイノベーターがどのような未来を感じとっているか、といった内容になっていて、科学者や活動家が気候変動の仕組みや問題点、解決策を論じるのとは別の視点から書かれている。……すなわち、気候変動を根本的に解決するためには温室効果ガスを排出しない(つまりゼロにする)ことが重要だから、そのために何をすべきかを科学的知見から語る、ということだ。
基本的にはビル・ゲイツ自身がどう思考しているか、考え方や助言として簡潔に述べられている。最後の方では政府や政策、個人がどうしてくべきかも書かれているが、内容の重心は温室効果ガスをゼロにするための技術やイノベーションの説明である。
どういう人が読むべきか
気候変動関連書籍というよりは最新技術やイノベーションを理解するための書籍という方が近いかもしれない。ここ最近の話題の集め方をみるに(多少コロナでトーンダウンはしたが)、環境や地球温暖化の話題は個人に影響を与えるだけではなく、企業やその業務内容にまで影響を与えるレベルになりつつある。そういう意味では、意識を高めて気候変動に取り組もうといった自己啓発ものよりも、世界の流れを掴んでビジネスに活かす、そういうトレンドに合致した本であると言える。そして非常に読みやすいので、なんとなくニュースで見る機会も増えた話題に対応したい、もしくはこの分野に興味あったけど専門書みたいな堅苦しいのはちょっと…という人にオススメである。
キーワード
・実質ネガティブエミッション
・グリーンプレミアム
・カーボンプライシング
・直接空気回収(DAC)
・次世代原子炉
・核融合
・洋上風力発電
・フロー電池
・蓄熱
・ノーマン・ボーローグ
・人造肉、培養肉
・ハーバーボッシュ法
・都市計画
・CGIAR
・ジオエンジニアリング
以下、感想
ビル・ゲイツは、「はじめに」の中で、自身の二酸化炭素排出量の多さを認め、責任を意識し、減らさないといけないことを最低限の務めとしている。しかし、現代人においては
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