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みちのく潮風トレイル冒険録4:仙台平野の海岸線を歩く(逢隈駅→名取トレイルセンター→マリンゲート塩釜)

 子供の頃から、地図を眺めることが好きだった。地図帳のページを繰りながら、この道路はどこまで続いているんだろう、この線路はどこへ行くのだろうと、意味もなく地図上を旅していた。
 八戸まで続くみちのく潮風トレイルの地図を眺めていると、そんな地図オタク的な好奇心がうずうずとしてくる。旅をすることの目的は人それぞれだと思うが、私がトレイルを歩く目的は、地図上に描かれた壮大な八戸までの道を自分の足で歩くことで地図オタク的な知的好奇心を満たすことなのかもしれない。旅は冒険だ。英語にはwanderlustという単語があるが、私はこの単語が好きだ。ふつう旅行熱とか放浪欲とか訳されるが、わかりやすく冒険心と言い換えてもいい。地図上で憧れた未知の場所を歩いて旅することで、自分の中のwanderlustを満たすことができる。これが、私の旅の目的だと思う。
 話は少々横道に逸れるが、冒険といえば、私はアイドルマスターシンデレラガールズというゲームでブルームジャーニーというユニットを長年担当している。

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 氏家むつみ、古賀小春、成宮由愛の3名から構成されるユニットで、お花をあしらった冒険家風の衣装が特徴だ。「冒険」「挑戦」といった言葉をキーワードとしている。私がこの子たちに魅力を感じるのは、自分の中にも冒険への憧れがあるからなのだろう。みちのく潮風トレイルを歩くという冒険に挑戦することが、自分なりのブルームジャーニー担当プロデューサーとしての活動でもあると勝手に思うことにしている。

Day6:逢隈駅→名取トレイルセンター

 2021年5月29日(土)
 さて、今回のセクションは平坦で特に寄り道するポイントもないため、平地をどれくらいのスピードで歩けるのか検証することを一つの目的として歩いてみる。常磐線に乗り、逢隈駅を出発する。駅の北側から阿武隈川の川土手に登り、土手を延々と歩いて行く。海岸に近づくと、トレイルは千年希望の丘園路に入る。この丘は岩沼市が海沿いの被災地に震災ガレキを利用していくつも整備しているもので、津波の威力を減退させるとともに津波の際に避難丘としての役割を果たすことを目的としている。

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 トレイルはこれらの丘のうち13号丘から11号丘までの3つを経由した後、海岸沿いの道路を北上して行くが、せっかくなので潮風を感じたいと思い二の倉海岸付近よりコースを外れて海岸堤防の上を歩いてみた。これから歩いていくであろう牡鹿半島が海の向こうに微かに見える。

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 テニスコートや野球場が集まる岩沼海浜緑地公園で昼食をとり休憩する。仙台空港の横を通り抜けて名取市に入り、名取トレイルセンターに到着する。ここがMCTを管理しているみちのく潮風トレイルクラブの本拠地で、館内ではトレイルの情報が発信されており誰でも見学することができる。最近ではハイカー向けにキャンプ場も開設されたそうだ。

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 実はトレイルセンターを訪れたのは今回が2回目で、MCTを歩き始める前にも閖上観光のついでに一度来たことがある。ここを訪れたこともMCTを歩き始めるきっかけの一つになったかもしれない。トレイルセンターは名取駅と閖上地区を結ぶバスの終点となっており、バスは2時間に1本くらいは走っているのでセクションの区切りにちょうどいい。
 この日は26.13kmを5時間半で歩き切り、時速にすると4.75km/hで歩くことができるという結果となった。

04.逢隈→名取

Day7:名取トレイルセンター→マリンゲート塩釜

 2021年6月5日(土)
 名取駅からバスに乗り、名取トレイルセンターを本日の出発点に歩く。閖上地区は震災の被害が著しかった地区だが、現在は小綺麗な復興住宅が整備され朝市も開かれる観光地としても賑わっている。地図は少し古いのかトレイルのルートになっている道が区画整理でなくなっているので、名取川の河畔に広がる観光施設「かわまちてらす閖上」を経由して歩き、閖上大橋を渡って仙台市に入る。震災の時、NHKのヘリが閖上大橋の北詰に押し寄せる津波を生中継する映像をTVで呆然と見ていたことを思い出す。ヘリは閖上から海岸線に沿って南へ、つまり私の地元に向かって飛んでいき、見覚えのある海沿いの景色が破壊されて行く様がTVに映し出され、呆然とただ眺めているしかなかったことは今でも忘れ難い。
 トレイルは貞山堀沿いのサイクリングロードを進んでいくが、天気が良いせいか行き交う自転車が多く、少し歩きにくい。そこで前回同様海岸堤防の上を歩いていくことにする。潮風と日光を浴びながら心地よく真っ直ぐな堤防を歩く。いっそ海岸堤防をトレイルの本線にしてしまえばいいのにと思うのだが…。堤防の外側には砂浜が広がり、釣りや日光浴に訪れている人が多い。

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 長い長い堤防をひたすら歩いて七北田川の河口までたどり着き、中野栄の港湾地区に入る。

 多賀城市に入ると、トレイルは末の松山、興井、多賀城碑、多賀城政庁跡、といった史跡をたどって蛇行していき、歴史を感じることができるルートとなっている。

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 多賀城政庁跡を過ぎ、歩いた距離が25kmを超えたあたりから足に疲労を感じ始めてペースが落ちる。最後に鹽竈神社の長い石段を登って神社に参拝し、この日のゴールであるマリンゲート塩釜に到着。次回の浦戸諸島めぐりに向け渡船の乗り場を確認した後、本塩釜駅から仙石線で帰宅する。
 この日は29.96kmを、6時間45分かけて歩いた。

05.名取→塩竃

 南側のセクションは↓

 北側のセクションは↓


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