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"for the Rest of Us" 大好きなApple社に思うこと

スティーブ・ジョブズの考え方をうまく表現したと同時にAppleが大勢を占めたが故に出来上がってしまった矛盾を常に感じます。

そう、自由になるはずのツールが却って不自由な監獄を作ってしまったのです。キーワードは「拡張性」これが故にヒットしこれが故に限界があるし、人々に不自由を与えている。

そのあたりの感覚をしっかり表現されている書き込みのリンクです。

1984年1月22日第18回スーパーボウルのハーフタイムでおよそ9,000万人以上と言われる視聴者へ向け「1984」のCMを流しました。

ジョージ・オーウェルの「1984」になぞらえて当時のPC界のThe Big BrotherのIBMを管理社会の悪役として描き、それに対して、その他大勢のための選択肢だとしてMacintosh Plusを提案しました。

監督は1979年にエイリアンを大ヒットさせたリドリー・スコット。

IBMによって管理された世界の住民たちと、自由の象徴のApple Macintoshという絵は当時は確かにインパクトが大きく、私もCMは見れなくともMacLIFEやMacFanといった宣教的な雑誌に繰り返し取り上げられすっかり布教されておりました。

その後IBMはPC自体を中国のLenovoに譲渡したり2014年にはアップルとIBMが提供するに至り1984で描いていた世界は消滅しました。

それはひとえにAppleMacintoshやiPhoneといった製品たちの功績であるのですが、あれ?ちょっと変に感じますよね。

当時のIBMのPCの世界は真っ黒な画面に緑色のキャラクターだけのDOS画面の時代でした。1984年にMacintosh Plusがリリースされた後1995年にWindows95がMacintoshのGUIを巧妙に真似たWindowsをリリースしてデスクトップというGUIの世界がすでにデファクトになり、IBMの規格自体も互換機としてのシリアルそして現在のUSB-Cまで共通の規格をとり、IBM自体がPC事業自体を中国Lenovoへ譲渡、さらにはIBMとアップルの業務提携が2014年に実現し、1984の世界は消滅したのです。

そのキーワードは「拡張性」これをを重んじるギークたちと、その他大勢は自分で箱を開けない普通のユーザー。

アップル、スティーブ・ジョブスは箱を開けない人たちに向けた製品として、ゼロックスのALTOから広く一般にデスクトップのあるGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)とマウスを拝借し、後は拡張性がない一体型とした。それがMacintosh Plusのリリースでした。

そこでスティーブ・ジョブスの商売人なところはADBというMac専用のインターフェースと、普通の家庭にはないトルクスドライバーが無いと箱を開けられない仕様にしたことでした。

この精神は現代にもおいてもiPhoneなどの Lightningコネクタ規格やThunderbolt規格、iTunes, Apple Musicなどへ連綿と引き継がれています。

ところが、EUからLightningは排他的な規格なのでUSB-Cへ統一するように勧告されているのが現代ですし、そもそもiOSから「脱獄」ツールが出てきて、それをいかに囲い込むかが今のAppleの姿勢。

これって、1984でAppleが描いた「管理社会」そのもの。

こと現代に至ってはLinuxの世界が当時のAppleの立場です。しかし違うのは、Googleという第二のApple同様の戦略を取る企業もありAndoroidもなかなかのくせもの、MicrosoftのWindowsはビジネスの世界で未だデファクトである。

だんだんとOSが自由の象徴から機器間の連携を邪魔する「足かせ」になっていることを感じます。

これからの世界はWeb3.0とメタバースとなれば当然OSなどはあくまで機器を制御するための道具にすぎないことになります。

私が初めてMacintosh Color Classicを手に入れた1991年MC680x0のモトローラコアを使って漢字Talk7.5からピーヒャララとモデムでパソコン通信の世界へ繋いでいた時のワクワクは今や当たり前のプラットフォームと化し、その世界に住むギークたちはいまや希少な存在になってしまいました。

今自分がいる世界は自由なのか、管理された世界なのか。新しいPCを買うとワクワクはしますが、パソコンが何台あってもやれることの範囲が「用意された」ものだけであることに面白さを感じなくなっています。

スティーブ・ジョブスが作りし自由な世界が、却って管理を強化してアップル社にお金が集中するような世界になっては本末転倒だと思うのです。誰もが自由な世界というのは単なる理想なのでしょうか。。。

私としては、生活の質を上げ、自分の感性を豊かにしてくれるツールとしてAppleがいつまでもその先頭を走って欲しいと同時に、企画する側、生産する側、デザインする側全ての人と世界が矛盾を抱えないホワイトな世界であって欲しいと思います。

何ごとも程々が一番。足るを知り楽しくやっていきませんか。

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