クレーマーとの戦い

私は今まで数々のバイトをしてきた。
飲食店やスーパー、パチンコ屋、コンビニという一般的なものもあれば、ピンクチラシのポスティング、スロットをずっと打ち続けるバイト、下水道のお姉さんなどなど珍しいバイトもやった。

バイト先ではいろんな人間模様がみれたり、とんでもない客に遭遇したりといろんなことがあったけど一度には伝えきれないので・・・

とりあえず

今回は深夜のドンキホーテでレジ打ちのバイトをしていたときのお話。

そのドンキホーテはあまり治安のよくないところにあったので、深夜ともなればお客さんはほとんどがキャバ嬢やホスト、ヤ〇ザやアジア系外国人などで占めていて普通のお客さんはほとんどいなかった。

そして、そのドンキホーテには他と違ったサービスがあり、
3千円以上のお買い物をするとコインが1枚もらえ、店内にあるお菓子(うまい棒)の入ったクレーンゲームで1回遊べるのだ。
ただし、このコインは1回のお買い物につき1枚しかもらえない。3千円買おうが、1万円買おうが渡されるコインは1枚なのである。
そして、このルールが度々トラブルの原因になるのだ。

あるとき、買い物を済ませたチンピラ風の男が私のレジに怒鳴り込んできた。

「おいっ!今買い物してコインもらったんだけど、9千円買ったのにコイン
1枚しかもらってねぇぞ!」

早々にキレてらっしゃる。

私は丁寧に説明して謝罪した。
「すみません。こちらのコインですが、1回のお買い物につき1枚しかお渡しできないんですよ。申し訳ございません!」

すると男は納得できないのか、さらに興奮して大声を上げた。

「おかしいだろっ!3枚だろっ!3枚!!」

完全にキレている。目は血走り、鼻息は荒く今にも殴りかかてきそうな勢いで彼は言った。

「早く3枚コインをよこせっ!!!」

脅している。完全にコインで脅している。

彼の脅している様子を見て、

(こいつは私が女だから、強く言えば怖がってコインを渡すと思っている。
自分より弱い女性や子供などの弱者には強くでる最低なやつめ。
一度これでコインを渡したら調子に乗って毎回脅してくるに違いない。
私を舐めてもらっては困る。絶対にこいつにコインは渡さない!)

私はコインを絶対に渡さないというスイッチが入った。

お釣りが足りなかったわけでも、買った商品が破損していたわけでもない、お菓子のクレーンゲームのコインを渡す渡さないの戦い。

何を言っても動じない私に男はさらにヒートアップして大声を上げた。

「いいから早くコインをよこせ!!!!!」

「申し訳ございません!お店の方で決まっていて、どなた様にもそうさせて頂いてるんですよぉ~。」

両者どちらとも引き下がらないやり取りがしばらく続き、男は私からコインを奪うのを諦めたのかこう言った。

「もうお前じゃ話になんねぇ!!店長を呼べ!店長を!!」

男は続けてこう叫んだ。

「俺はなぁ、この界隈で有名なクレーマーだぞっ!!!!!」

(え?この界隈で有名なクレーマー?)

私は驚いた。

(自分のことをクレーマーと言うなんて。こんな感じだけど、客観的に自分のことを見れてる人なんだ。)

と少し感心した。

店長を呼ぶにはそれぞれのレジに設置された電話機で、店長に直接繋がる内線に連絡する形になっている。

「今、店長をお呼びしますので少々お待ちください!」

私はクレーマーと名乗る男にそう言い、男の目の前で受話器を取り店長への内線電話をかけた。

「あの、すみません店長。今、クレーマーとおっしゃる方が店長をお呼びです。」

(ようやくこの戦いも終結する。。。)

そんなことを思いきや、私が店長に伝えている言葉を聞いて男は再び大声を上げた。

「おいっ!!誰がクレーマーだ!!!!俺はくりやまだ!!!!!」

その後。私がその男にただただ平謝りしたのは言うまでもない。

店長はこの場をまるく収めるためこっそりその男にコインを渡し、
結果この戦いは私の惨敗で終わったのであった。。。

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