祝アルバム発売〜大好きゆるふわギャング〜

ゆるふわギャングは、ラッパーカップルのRyugo IshidaとNENE、プロデューサーのAutomaticからなるヒップホップユニットだ。

2017年、名盤「Mars Ice House」で華々しくデビュー。比較的ポップな作風だったので、ヒップホップを聴かない層からも支持を得た。その後も、若手ラッパーのオールスターが集ったBAD HOPの「BAD HOP WORLD DELUXE」に参加したり、「大豆田とわ子と三人の元夫」のエンディングテーマ、STUTSと松たか子の「Presense」にNENEが参加するなど、随所で存在感を示している。

とはいえ、名前だけ聞いたことがあっても、どんなアーティストなのかいまいちイメージが沸かない人が多いのではないだろうか。それもそのはず、実は時期によって音楽性が大きく変わっていて、どんなアーティストなのかとても説明しづらいのだ。

例えば、前述した爆売れ1stアルバム「Mars Ice House」はポップで誰もが聴けるのに、2019年の「CIRCUS CIRCUS」は逆にヒップホップらしいスカスカな音でゴリゴリな仕上がり。インドで作った2020年のEP「GOA」ではほとんどラップをしておらず、恥ずかしながら何をやろうとしているのか全く分からない。

ただ、ゆるふわギャングの曲を聴いてきて、言えることが二つだけある。一つは、年々Ryugo IshidaとNENEのラップがキレを増していること。もう一つは、「やりたいようにやる」という精神が一貫していることだ。

「やりたいようにやる」から、誰もが魅了される曲から、誰にも理解できない曲まで、色々な曲を作る。そして、やりたいようにやっているので、ヒップホップの文化にも縛られていない。具体的には、格好つけて自分達を正当化していない。

 「あいつはフェイクあいつはリアル とかすらもうどーでもいいレベル ヤバいものはヤバいと言う ヤバい曲だけで盛り上がる」(Sad But Good)

ゆるふわギャングには自分達を正当化する理由すらない。「やりたいことをやっていれば、それだけで自分達は最高なんだ」という、強烈な自信、肯定感があるように見える。この文脈で解釈すれば、ヒップホップ文化に馴染みがない人でも聴きやすいアーティストなのではないかと思う。(ちなみに個人的にはヒップホップの格好つけて正当化する文化はめっちゃ好きです)

さらに、プロデューサーのAutomaticが作る曲は音数が多く、ヒップホップ特有のスカスカ感がない。だから、アルバム「Mars Ice House」や、「GIFT」などから聴き始めれば、普段ポップやロックを主に聴く人にも違和感が少なくて聴きやすいはずだ。(逆にヒップホップ好きにはAutomaticが曲を作ってない「CIRCUS CIRCUS」がおすすめ)

加えて最後に言わせてほしいのは、ゆるふわギャングは今が一番かっこいいということだ。去年出した、「Ying Yang」「MADRAS NIGHT PART2」と、今年出した「Alissa」「Unforgettable」の4曲は、どれも甲乙つけがたく、過去最高にかっこいいと思った。誰もが認めるラップスキルと、ポップさを残しながらキレを増したトラックが、ハイレベルな融合をしている。

6月15日に発売されるアルバム「GAMA」はどうなるのだろう。この波に乗ったまま超かっこいいアルバムを出すのか。あるいはやりたい放題やってみんなをポカンとさせるのか。どちらも見てみたいような気がする。何にせよ、めちゃくちゃ楽しみだ。

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