ゲーム•オブ•スローンズ シーズン2EP2「粛清」 行間メモ

[18:14]
シオン「皆 桟橋で待ってるな」
船の女「誰がです?」
シオン「関係者全員だ 記念すべき日だ 俺が去り 退屈だっただろうし」
•一般人ですらシオンが鉄諸島でさほど重要視されていないことを知っているのに、シオンはそれが分かっていないという描写。もはや可哀想。
•シオンは幼い頃にウィンターフェルに連れて行かれ、スターク家の中で育つ中で、「自分も名家の跡継ぎである」というアイデンティティに依存せざるを得なかったように見える。またパイクの記憶が薄れる中で、故郷を理想化しているようなふしもある。

[20:00]
(ロス、娼婦仲間が産んだ子がロバート王の落とし子と疑われ殺されたことを思い出し、職務中にも関わらず泣いてしまっている)
ピーター「君を見ると思い出す ライスの娼館で手に入れた女の子だ きれいだった 君みたいに 頭もよかった 君みたいに でも悲しそうで よく涙を流してた  理由を尋ねたが 君と私ほど親密じゃなかった 私も悲しかったよ ライスの娼館で働いていた女は とても高価なんだ でも その女は少しも稼がなかった 不良投資は大嫌いだ 実に腹が立つ 悩みの種だ その女は暗いままで 私は損失に頭を抱えた だが裕福な客が大金で彼女を買ってくれた この美しく暗い女を変えようとした 誰も思いつかないような方法で彼女を使ったんだ 君でも思いつかないだろう 彼女は明るくならなかったが 私は損失を確実に埋められた 今夜は休んで喪に服せ 明日 会おう 明るくな 私を悩ませるな」
•仕事にならない状態のロスを脅すピーター。わざわざ慰めるような話の入り方をしておいて、利益にならない娼婦は必要ないと切り捨てている。その上でさらに、損失を埋めるためなら酷い場所に売り飛ばすことを示唆して脅している。語気をさほど荒げずに相手を追い詰めるのがピーターらしい。
•ピーターがこの場面で怒っているのかは微妙なところで、あくまで損得勘定に従って冷静に脅しているようにも見えるし、怒りを抑え込んで脅しているようにも見える。ただ、損得勘定をベースにして話していることから考えると、ピーターが自分を冷静であると自認していることは間違いないと思う。

[26:26]
ティリオン「君は前任の“手”を裏切った 放っておくのは危険だ」
ジャノス「何だと?小評議会が許さないぞ 太后も…」
ティリオン「摂政太后だ 彼女が助けると思うか?」
ジャノス「ジョフリー王に言うぞ」
ティリオン「無理だ」
[27:17]
ティリオン「彼はブロン 王都の守人の新しい指揮官だ」
•ジャノスはエダードを裏切りサーセイに味方した王都の守人の指揮官。ティリオンは彼を解任して“壁”送りにし、ブロンを王都の守人の指揮官にすえる。ティリオンにしては大胆な権力固めに見える。これができたのはティリオンが自分で言っている通り、サーセイがジャノスを助ける気があまりなかったからだと思う。それはジャノスが小物だからでもあるし、またサーセイが味方をあまり作らず、ジェイミーと子供達以外はさほど大切にしていないからでもあると思う。サーセイの性格について熟知しているティリオンだからこそとれた行動だったのかもしれない。

[27:43]
ティリオン「もし俺が 純真な乳飲み子を殺せと命じたら疑問を持たずに殺すか?」
ブロン「いいや 疑問を持つ “いくらで?”と」
•この2人の関係は、損得勘定をベースとして成り立っていることが強調されている。とはいえ、ブロンは高巣城でかなりリスクを冒して知り合ったばかりのティリオンの決闘裁判の代理人に名乗り出ているので、初対面の時から気が合っていたという面もあると思う。

[31:33]
(アリア、自分の正体をジェンドリーに明かす)
ジェンドリー「お前はレディか」
アリア「いや 母と姉はレディだったけど…」
ジェンドリー「高貴な生まれで城に住んでた?“小便しろ”とか ひどいことを言ってしまった レディなのに」
アリア「やめろ」
ジェンドリー「仰せのままに」
(アリア、怒ってジェンドリーを突き飛ばそうとするが体格差があり体勢が崩れない)
ジェンドリー「それがレディ?」
(アリア、さらに強く突き飛ばしてジェンドリーを地面に倒し、怒りながらどこかへいってしまう。突き飛ばされたジェンドリーは笑っている)
•ジェンドリーが初めからアリアをからかっていたのか、それとも途中でアリアが“レディ”扱いを嫌がっているのを見てからかい始めたのかは分からない。どちらにしろ、ジェンドリーはあまり身分を気にせずアリアに接している。

[35:43]
ベイロン「その服はどうした?スタークに娘として育てられたか?」
シオン「着替えましょうか?」
ベイロン「そうしろ 首の安ピカ物には鉄の代価を払ったのか?それとも金か?答えろ 戦で倒した相手から奪ったのか?買ったのか?その美服によく合うように 鉄か 金か」
シオン「金です」
(ベイロン、シオンの首飾りを引きちぎり、マントごと床に落とす)
ベイロン「息子に娼婦の格好はさせん 恐れが現実となった スタークに取り込まれたか?」
•華美な服を脱がされることが、シオンが必死に作り上げた見栄が崩壊するのとリンクしている?
•北部は忠誠心を重視していて、それは家柄を重視することにもつながる。その反面、鉄諸島は実力重視の文化で、領主の息子だろうと実力がなければ認められない。だからベイロンはスターク家に養われている身のはずなのに華美な服装をしているシオンが気に入らない。逆に、もし戦で倒した相手から奪った首飾りだったとしたらシオンのことを見直していたかもしれない。

[36:46]
シオン「ロブは私を兄弟のように思ってます」
ベイロン「よせ わしの前で奴を兄弟などと呼ぶんじゃない お前の真の兄弟を殺した奴の息子だぞ」
•エダードがシオンの兄弟を殺したという情報は視聴者からすると初出だが、シオンは知っていたはず。シオンの見通しの甘さが強調されている。

[38:00]
ヤーラ「久しぶりだね弟くん この件は孫に話さないと」
シオン「彼女に指揮など」
ベイロン「いかんか?」
シオン「女だ!」
ヤーラ「どっちが?」
ベイロン「ウィンターフェルではない スタークに殺された長男の船をヤーラが引き継いだ “死せる者は死なず”(シオン、標語をベイロンに合わせて言おうとするが遅れてしまう)ヤーラはこの島々と船上で過ごした 男たちを指揮し 殺した 自分を分かっている (ベイロン、ロブからの手紙を暖炉で燃やす) 誰からも王冠は受けん わしは鉄の対価を払い 王冠を勝ち取る それがわしだ 我々はそうしてきた」
•ヤーラに恥をかかされるシオン。ベイロンにも首飾りをちぎられて恥をかかされている。見栄っ張りのシオンにとって非常に辛い状況。
•シオンは自分がグレイジョイ家唯一の男児であり後継ぎだと自認していたが、ベイロンはヤーラに長男の船を継がせていた。要因のひとつとして、ベイロンにヤーラを政略結婚で別の家に嫁がせるという発想がないことがあると思う。ベイロンにとっての領土は自分で奪い取るもので、外交や政略結婚によって守るものではないのだろう。だからシオンとロブの絆も利用しようとしない。一度反乱を失敗したにもかかわらず、攻撃して奪う以外の選択肢を持っていない。

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