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ギャラリーaaploit-―秋野イントロ個展「attachment」作品《introvert/sigh In the breeze》について by p

ギャラリーaaploit で開催されている秋野イントロ個展「attachment」では、絵画作品が多く展示されている。中でももっとも大きな (S50 号)作品がギャラリー空間の雰囲気を作っていた。それは作品の大きさだけではなく、画面の明るさ、使われているメディウムの色の鮮やかさや描かれている人物の像形などで全体的に明るく軽やかなポップな印象を与えていた。しかし作品の正面に立った瞬間、その空間に漂っていた明るく軽やかな印象は一瞬で消え去った。そこに描かれていた人物の目はボタン、口は唇が印刷された紙が貼り付けられておりサイコパスな印象を受けた。

copyright 秋野イントロ

ボタンの目と印刷された口は、見ること語ることを拒んでいるようにも、またマニュアル化された見方や語り方しかできないロボット化した人物のようにも見えた。コミュニケーションに用いる目と口が印象的なその作品は、他者と関わるコミュニケーションに悩む今という時代に生きる人の訴えのようなものが伝わってくる。
作家秋野イントロは心理カウンセラーの仕事の傍ら作品制作を続けているという。心理カウンセラーという仕事の中で悩める人々の問題を作品へと昇華させたのであろうか。
その作品のタイトルは《introvert/sigh In the breeze》。内気な人のため息は風の中で爽やかに消えていくのか、諦めのため息は人知れず風に運ばれてないものとなるのかは、わからない。作品の中の人物の顔は淡いブルーで描かれており、ボタンの目は黒のメディウムの上に縫い止められて、まるで黒い涙を流しているように見える。顔とは対照的にその人物の頭部は今にも発火しそうなオレンジやイエローで、激しく思考活動が行われている印象を受ける。
人物の性別はわからない、その代わりその人物の両サイドに描かれている水色とピンクの柱が、男女または、善悪、世の中の相反する二項を示しているように思える。

テクノロジーの進化で、容易に人と繋がりコミュニケーションがとれる時代となったが、同時に多くのルールや倫理も問われる様にもなった。しかし人々の性格は内向的、外交的それぞれで、皆が同様なコミュニケーションが取れる訳もない。また、ものごと二項だけに分かれるだけでなくグレーゾーンも存在する。
現代のように世界のあちらこちらで争いが起こっていると、何故そのようなことになってしまうのか、政治的な部分を除いてマクロな部分での人との関わり方について考えてしまう。しっかりあるがままを見て、お互いへの思いやりを持って思ったことを語り、善悪、正解不正解、上下などの二項で捉えるのではなくありのままをグレーホールの中に受けとる、感情を持つわれわれはそんなことができない動物なのであろうか。
多分、秋野イントロは愛ある大きな「グレーホール」で多くを受け取ろうとしているのではないかと思う。
社会の進化と共に人との関わり方も改めて考えたい。

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