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手紙①アートライティング by R.I

夏に向かっていく太陽の光を浴びて、緑が青々と茂り紫陽花の咲く時季になりました。元気ですか?この前、首都高をくぐり神田川を渡った先、静かな路地にあるaaploitというギャラリーで、絵画の作品を見てきました。

©なんやゆうき, aaploit

作品は抽象画で絵の中心付近に、おおよそ丸のような形の赤いものが描かれていて、右は明るい黄色、左は暗い茶色。と簡単に述べてしまいましたが、この作品には何色もの絵具が重ねてありよく見ると、青、白、緑、黄色また色が重なってできた色など様々な色が見えます。塗りは、部分部分で違う塗り方をしているようで、下地が見えてそれが模様のように見える箇所もあれば、強く塗り潰して見えるような箇所もあります。スクラッチが入っていたり、中心の丸のような赤は一部分直線になっていたりも。

悲しみや絶望の感情の沼に落ちてしまった心が、それでも希望や優しさを求め憧れ、諦めていない。様々な感情に溺れる彼女自身。母親から産まれたこと、子供は何があっても親とは生物学的につながってしまっているという事実。繊細が故に傷ついてしまう心。そんな自分が存在している世界。そういうことを感じました。ギャラリーの空間の中は、彼女の感情のグラデーションの世界にお邪魔させてもらっているような気分になり、絵画を通して触れる世界に私は子宮がゾワゾワしました。明るい印象とは言えないけど、かと言って完全に暗い印象でもありません。音楽でいうとヒグチアイ の『備忘録』という曲とトーンが似ている気がします。

私とは違う経験を経ているあなたは、この作品がどう映るのでしょうか。観に行ったら教えてください。日々是好日と思える心を持って、お互い日々過ごしましょう。また連絡します。


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