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騎士団長殺し/村上春樹 自宅の本棚から その2

村上春樹さんの本も本棚に多いが、今回は「騎士団長殺し」について書いてみたい。
「騎士団長殺し」は、いろいろな形式で発表されており、最近ではAudible版も出ている。実は私事で恐縮だが、真夜中にふと目覚めるときがあり、そういう時にAudibleを聴きながら寝るのだが、この「騎士団長殺し」はそんな時に最適だった。そのAudible版については、後日別に書いてみたい。
またこの小説にはクルマが登場人物達のキャラクターを象徴するものとして出てくる。主人公が妻と別れ東北を旅する時のクルマは「プジョ205」小田原では「カローラ・ワゴン」、谷向こうに住む謎の富豪の免色氏は「ジャガー・クーペ」、その娘の叔母は「トヨタ・プリウス」と特に旅先で主人公を心理的に攻める「スバルフォレスターの男」とその他絵画教室の女「ミニ・クーパー」友人の「ボルボ」等キャラクターを彩るものとしてクルマが良くが出てくる。クルマ好きとしては嬉しいが、クルマに関心が無い方には、意味不明だとも言える。
文庫版の表紙にもクルマが出てくる。
音楽もそうだし、クルマも登場人物達を彩る小道具として、小説自体の背景を重層化し、明確にしている。
全体の構造は複雑の様に見えて、実は1本のルートで進むので安心して読んでいけるところは、人気の秘訣かもしれない。とは、村上春樹氏の特徴で、時系列と場所は、錯綜して展開する。
とはいえ、読み進めると謎は常に出てくるし、その人間関係も意外なものが多く、飽きさせないし、途中で止まることも無く、読むスピードはドライブ感が出てきて加速する。冗長化しないで、長編小説を構成させる力量はやはり一流である。



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