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短歌「読んで」みた

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短歌の鑑賞と、そこから得られたインスピレーションによるミニエッセイ。週一回、週の後半に更新。
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#短歌鑑賞

短歌「読んで」みた 2022/03/12 No.24

短歌の鑑賞とミニエッセイ24回目。年齢を経てその立場になってわかることと、自然を見つめる確…

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短歌「読んで」みた 2021/12/29 No.23

雪が降るとすぐに歌人たちは「ゆひら」と言いたくなる。その端にいる私も数日前の初雪に言いた…

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短歌「読んで」みた 2021/12/12 No.22

肌寒さと少しの甘さを持つ、初冬のこの時期にぴったりの短歌。愛とは誠実さとは、またそれを測…

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短歌「読んで」みた 2021/11/01 No.19

 短歌「読んで」みた第19回。今回は「星」を詠んだ短歌を探していて目に止まった一首を。私た…

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短歌「読んで」みた 2021/10/10 No.18

人が逃れられない、「暮らし」。 人の数だけある暮らしを自分はどう営んでいくのか。正しい答…

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短歌「読んで」みた 2021/10/02 No.17

眠るまでをあづける闇のまなうらに無花果は生るむかしのいろに  近藤かすみ『花折断層』(201…

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短歌「読んで」みた 2021/09/26  No.16

凹凸の見本としてのワッフルはレゴブロックにあこがれている  九螺ささら『ゆめのほとり鳥』(書肆侃侃房 2018年)  ないものねだり、という言葉が頭に浮かんだ。  ワッフルと言えばあの幾何学的凹凸。お菓子。各種ワッフルのどれをさしているかが定かではなくても、だいたいはっきりとした凹凸がある。ワッフル地という、表面に規則的かつ正方形のまるでベルギーワッフルのような凹凸を持つ布地もあって、全くもって凹凸の王道を行っている。属性にゆらぎなどどこにもない。ワッフルと言えばあれ、とい

短歌「読んで」みた 2021/09/19 No.15

海港のごとくあるべし高校生千五百名のカウンセラーわれは  伊藤一彦『伊藤一彦自選歌集-宮…

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短歌「読んで」みた 2021/09/12 No.14

いつだって風は一人で吹いているさみしき者の洞をめがけて  上野春子『雲の行方』(六花書林…

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短歌「読んで」みた 2021/09/03 No.13

ひとりでみてしまうひとりでみてしまうひとりでデジタル時計のぞろ目  穂村 弘『ラインマー…

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短歌「読んで」みた 2021/08/24 No.12

すまいらげん 決して滋養強壮に効くくすりではない smile again  笹井宏之 『ひとさらい』…

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短歌「読んで」みた 2021/08/07 No.11

身動きもならずつどひしよこはまのはとばの友は我等を送る  金栗四三 手記『㐧七回オリンピ…

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短歌「読んで」みた 2021/07/31 No.10

平泳ぎ競ふあたまが描きゆくサインカーブとコサインカーブ  光森裕樹 『鈴を産むひばり』(…

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短歌「読んで」みた 2021/07/18 No.9

魔女ならばまだまだ若い  白菜のスープをぐつぐつ煮こむ真夜中  林あまり 『ベッドサイド』(新潮文庫 2000年) 何かを煮込む時。大きな鍋で、煮込み時間が長ければ長いほど、いろいろと考える。そして連想。大鍋を煮込む光景で思い出されるのが童話のあの光景だ。深夜の森の崩れかけたおどろおどろしい小屋の中。かまどには湯気を上げる大鍋。その前には蓬髪の魔女がいて、得体のしれないものを入れては混ぜるしわしわの手と鋭い爪。なかなかステレオタイプの連想ではあるが、それであるゆえ、無理のな