短歌「読んで」みた 2021/05/20 No.2
思い込む心にストップかけられずバターロールの生地は膨らむ
久保田智栄子 第一歌集『白蝶貝』(柊書房 2020年)より
たぶん、パンを焼いているところ。「パンを焼いている」と書いたが、焼く前段の発酵の工程あたりだ。時間を決めてパンは発酵させるものである。そうしないとどこまでも発酵してしまい、食味が損なわれる。
心情にも目を向ける。「思い込む」というからには静的・動的に関わらず、どこかかたくなである。そしてどちらかといえば暗い、表に晴れ晴れと出すものではないのではあるまいか。