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椎名林檎を観て夜中でもないのにボロ泣きしている

椎名林檎ご本人様がYouTubeにアップされているライブ映像。本来手のひらに収まっていいわけのない贅沢。動画はすごい数で、私はそれらを拝見し、何様だという話ではあるが選りすぐりの再生リストを作って楽しんでいる。いや、楽しませていただいている。

無意味だと分かっていながら無意識にやってしまう、インスタグラムとXの無限ループを断ち、己を奮い立たせるために、林檎様の再生リストを開くこともある。やる気を出すためにお世話になる、と言うと少々セクシーになるne。

贅沢にも、見慣れた、聴き慣れた音楽達。

ハマるととことんタイプの私、最近はもっぱら「走れゎナンバー」を歌えるようになりたい一心で、毎晩耳にぶち込んで寝落ちる生活を送っている。
ある夜、ベッドの中。ふと、次に再生をとYouTube側がおすすめしてくれる動画に目をやる。またもライブ映像、「緑酒」から「NIPPON」へ繋がるもの。以前視聴したときは、どちらの曲も知っているし、私の好みがこういったハツラツとした明るい曲調よりは、おしゃんなジャズ調や、激重メンヘラ大優勝系であるという理由から、リスト入りさせず一度の再生で終わった記憶だ。ただ、ちらりと見えた最上位のコメントの一部、「全員が涙したでしょこんなの」。つい右向きの三角をタップする。

緑酒のエネルギッシュなメロディー。林檎様が少々苦しそうに歌われている御姿。苦しそうだと思った要因である、左手を鎖骨あたりに這わせる色っぽい仕草。痛快に爆発し続ける歌詞。お腹いっぱいと思いかけた頃、緑酒最後のロングトーンでいきなり不協和音が炸裂し、アウトロと次の曲「NIPPON」のファンファーレが重なった。

私は泣いていた。

はじめてのおつかいを観ているときくらい。
八日目の蝉を観ているときくらい。
好きな人を好き過ぎるときくらい。
どうしようもなく情けないときくらい。

まだ22時。

メンヘラは暇だから夜更かしをする。
暇だから夜更かしをしてメンヘラになる。

まだ22時。

メンヘラの出生予定時刻としてはまだ早い。
じゃあ今ボロボロ泣いている私は何だ。メンヘラを通り越した存在か。あるいは、メンヘラよりもっと前の昔の祖の存在か。私は何なんだ。

なんてことを考えていると、あっという間に二曲目も終盤。林檎様がずっと眩しい。パワフルで繊細で恐ろしくて妖艶な歌声。弦も指も全部千切ってしまえと言わんばかりに激しく掻き鳴らすギター。譲り合うことも潰し合うこともなく、ただただ恍惚そのものを作り出すバンド。魅了され半狂乱で旗を振る観客。それを観て泣く私。

号泣したおかげでこのまま寝落ちることが出来そうだ。早寝のメンヘラが生まれるne。

万歳、乾杯、林檎様。


止まんないで運んで行って、何処へでも。

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