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アルスラーン戦記(2)

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王国崩壊

日本の戦国時代や、中国の戦史をよく歴史小説などで読んできた僕ですら、ここまで着実に後退→陥落→崩壊 と見せつけられるとやりきれない。

国の衰えが見えてくると、それぞれがそれぞれの判断で動き、そこに明暗が生まれる。
つまり、攻める側からすると隙が見えてくる。

この巻でも「お宝目当てのクセ者」ギーヴや、逃亡を図る王妃、そして憎しみ(愛憎)をたぎらせるカーラーンなど、様々な登場人物が違う価値観をぶつけ合う場面が何度も出てくる。

安定期だと社会に隠れて見えてこない「欲望」や「憎悪」が噴き出してくる様が、この作品の面白さであり、怖さだな、と改めて感じた。

落ち伸びて奇人・ナルサスのもとに落ち伸びたアルスラーンが「本当に大事なもの」と「差し出してもいいもの」をきちんと割り切り、きちんと「選択」をしたことが、革命の大いなる一歩になりそうで楽しみ。

侵略側・ルシタニアも決して正義の一体感を持つわけではなく、なんだかろくでもない国王に、異分子を多数抱えたが故のアンバランスさ、そして、民にとってはどっちが統治者でも変わらないのではないか?という視点の違いが、この先さらなる混乱を生みそうだ。

(日本では特にそうなのだけど)「国」は簡単には滅びないし、この世からすぐにはなくならない。
それを、この作品ではとことん見せてくれそうな気がするなあ。

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