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葬送のフリーレン (1) (少年サンデーコミックス)

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「マンガ大賞2021」受賞作。

ここ数年のトレンドでもない雰囲気の作品が受賞と言うことで結構話題にになっていたなあ(まあ、予想通りという人も相当数いたけど)

読んでみると、とても切なく、とても爽やか。

外で思うように振舞えない今だからこそ読みたい作品だ。


この物語は、終わりからの始まり。
魔王を倒して、幕を閉じた勇者たちと共に戦った一人の女性が、その先を生きる物語。

魔王を倒した世界で「生き続ける」フリーレン。
年をとり、老いていき、逝ってしまう仲間たちとの別れや思い出を胸に、託された弟子との旅を通じて「その時その場所その人」へ思いを寄せていく。

フリーレンは旅先で起きる様々な出来事に遭遇する。

生きているうちに為すべきことを果たしたい、と意気込む弟子・フェルン。
しかし、フリーレンは穏やかに悠然と、仕事や依頼を果たしていく。
目の前で起きていることはただ一時の事。いずれ姿を変え、価値を変え、そして当たり前のように存在していく。その光景を知っているから。

でも、時間があるからこそ、別れが待っていて、目の前から消えてしまう。そして、変わり続けるからこそ、あの頃に戻れないと知る。

「もっと知っておけばよかった」


平和が訪れ、何事もない日々の中に「彼ら」がいない。そして「彼ら」を知るものがいなくなる。
忘れてしまうこと、知らないことは、「彼ら」が存在しないこと。

そして「私」は・・・

そして、「そのとき」しかないからこそ、「そのとき」「その場所」「その人」と迎える景色が尊いものだと知る。

だらしがないフリーレンが、美しい景色を見るために早起きする(結局はフェルンに起こされるんだけど)
その一瞬へ、自分を向けていくその変化が、フリーレンを豊かにしていく。

時を経たからこその進歩、時が流れたからこその切なさ
いま、ぼくたちはこの苦しい時期をどう捉えているか。

捉え方次第で、世界は豊かな姿を見せる。
そんなメッセージを感じるなあ。

せめて、この物語を読んでいるその「時」が、豊かである、と感じられる読者でありたい。
そんな思いを、この作品は見せてくれる。

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