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阪神新外国人のカイル・ケラーについて

2021年62試合に登板し防御率1.16、被本塁打0と圧倒的な成績を残しセーブ王を獲得。 阪神移籍後の2年間クローザーとして大車輪の活躍を見せていたロベルト・スアレスが、サンディエゴ・パドレスと2年総額11M(2年目はプレイヤーオプション)の契約を結び、自身のMLB挑戦という夢を叶えた。スアレスを失った為、新しくクローザーを獲得する必要があり、スアレスの後釜として白羽の矢が立ったのが、今シーズンMLBで32試合に登板したカイル・ケラーだ。一時、オリックスなど複数球団と争奪戦になった模様だが、単年1.1M(約1億2500万)で阪神が獲得した。どんな投手か詳しく知りたいという方も多いと思うので、このnoteではケラーについてざっくり書いていく。


1. 経歴

まずは経歴から紹介していく。2015年ドラフト18巡目、全体536位でマイアミ・マーリンズに指名された。2018年までMiLBでプレーし、2019年にMLBデビューした。10試合に投げ防御率3.38とまずまずの成績を残した。2020年になると1月にホセ・エストラダとのトレードでロサンゼルス・エンゼルスに移籍。コロナ禍で短縮シーズンになった影響もあり2試合のみの登板に留まった。2021年4月には金銭トレードでピッツバーグ・パイレーツにトレードされた。MiLBで奪三振率が高いことや、4シームとカーブの組み合わせがパイレーツのデレク・シェルトン監督に評価されたが、今年も苦戦。シーズン終了後FAとなり阪神と契約した。

2. MiLB成績

カレッジ時代は先発をしていた事もあったが、プロ入り後は殆どリリーフとして登板している。MLBでの先発登板はゼロだが、MiLBでは2017年2試合、2021年1試合計3試合先発として登板した。しかし長いイニングを投げる事は無く、オープナー的起用が殆どだ。ロークラス時代から現在に至るまでずっと高いK/9を残し続けていて、MiLBでの通算はなんと12.2だ。その反面、BB/9が高いという欠点があったが年々改善されていて、今シーズンは18.1イニングで四死球数は3個、BB/9は1.47だった。

3. MLB成績

デビュー年の2019年10試合に登板し防御率3.38とまずまずの成績を残した。しかし、xERAとの乖離が大きく、翌年以降は防御率6点台越えと結果を残す事が出来なかった。MiLBで高い数値を出しているK/9はMLBレベルでも高い数値を残している。MiLBでのBB/9は改善傾向にあるが、MLBでは一貫して悪い。(MLB通算BB/9 6.2) 恐らくリーグレベルの差で、MiLBで空振りを取れていた球がMLBでは見極められ、その結果ストライクが取りずらくなりボール先行のカウントになって四球が多くなってしまっているのだと思う。BB/9をどれだけ抑えられるかが、NPBで活躍するのに1番重要な鍵になるだろう。

4. 投球配分

主に4シームとカーブの2ピッチという2019年阪神に在籍し、現在はサンディエゴ・パドレスに在籍するピアース・ジョンソンを彷彿させるような投球構成だ。2020年は少しだけスプリットチェンジを投じた。MLBデビューした2019年は4シームの割合が70%近い投球割合だったが年々4シームの割合を減らし、逆にカーブの割合が30%台から40%台まで上昇している。

5. 球質

4シームはMLB平均よりもポップ量が大きい空振りを取れるボールだ。カーブは縦の変化量が大きく、横の変化量が少ない縦に割れるカーブだが、MLB平均よりも縦の変化量も横の変化量も少ない。その為、ボールゾーンまで曲がり切らず、ストライクゾーンに残って拾われてしまうというような事が度々ある。先程も書いたように投球割合は確かにPJと似ているが、シュート成分の強い4シームに横の変化量が大きいスラーブのようなカーブを投じていたPJとは投げてる球の質が違うという事が分かる。

6. 球速

4シームの平均球速は94.5mph、カーブは81.4mphとMLB平均よりも少しスピードのあるカーブだ。球速のレンジは4シームは約97~92mphだが、カーブは約85~78mphと幅が広い。遅いカーブと速いカーブで何が違うのか調べてみた結果、遅いカーブの方が縦の変化量が大きく、逆に速いカーブだと縦の変化量が少なくなっている事が分かった。意図的に使い分けているのかは不明。外国人選手だがクイックにそこまで問題はなく、ランナー無しの時と比べて球速が大きく変化する事も無い。

今シーズン途中まで平均球速は95mphを超えて居たが、8月から平均球速が94mph台まで少しずつ下降した。8月に入ってセットの時のグローブの位置を胸元から、へその前に変更していて、恐らくこれが球速低下に影響を及ぼしていると見られる。

7. 最後に

流石に100mphを超える4シーム、2シームをコントロール良く投げ分けていたスアレスクラスの活躍を期待するのは厳しい。しかし、4A級プレイヤーのリリーバーの中でも最上級の選手で、まだ28歳と年齢的にも若く伸び代もある。過去に似たようなピッチングスタイルのPJを覚醒させた実績がある阪神で才能を開花させ、末永く活躍して欲しい。

出典

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