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【音MAD】AviUtlのトーンカーブで色調補正

イントロダクション


音MADの映像では、1つの画面にさまざま色合いの動画を配置することが多いので、画面全体の色合いに統一感をだしてやることが大切だ。この記事では、周辺ボケ光量+トーンカーブを活用した色調補正を紹介する。

※うまく表示されていないGIFは、クリックすれば表示されます。

※わからない所・誤った所があれば遠慮なく@aaa__5sに連絡していただけると助かります(記事改善の助けになります)。

必要なスクリプトの準備

必要なスクリプトは、「【AviUtl】 色調調整セットver6」。

つぎのようにスクリプトを導入する。

  1. このリンクからスクリプトをダウンロードし、

  2. ダウンロードしたファイルを解凍し、

  3. そのファイルを、以下の画像のとおりの位置に移動させる。

https://www.nicovideo.jp/watch/sm35722623 から引用

※うまくいかない時は、つぎのことに注意する。

  • 画像通りの位置関係で、解凍したファイルをおけているか、再確認。

  • 前バージョン(~ver.5)の色調調整セットを以前導入したことがあるなら、それは別の場所に移動させる。2つのバージョンが同時にscriptフォルダ内にあると、スクリプトがうまく表示されない。

  • Microsoft Visual C++ 2008 再頒布可能パッケージ (x86)をインストールしなければならない時もある。このリンク先の、下のほうにダウンロードリンクがある。他でもなく2008(x86)版が必要なので注意。

本編

・テストシーン

これから色調補正をかけていくために、テストシーンをつくった。それぞれの画像をクリッピングでサイズを調節し、シャドーをかけた。あなたのすきなシーンを用意すればいい。

・周辺ボケ光量(デフォルト)

テストシーンに周辺ボケ光量を配置(周辺ボケ光量は初期値のまま)

このエフェクトは、画面の隅っこを暗く(明るく)することで、いい感じの雰囲気をだせる。具体的には、暗く(明るく)なっていない中央部分に目線を誘導できたり、画面全体の統一感をだせたりする。

詳細な説明は省くが、わからなかったら、この記事を読むとよい。そんなに難しくはないので、自分で弄ってみたり、後に示すパラメータの値をマネしたり、ちょっと変えたりするだけで、挙動は理解できるかも。

周辺ボケ光量をだすには、拡張編集タイムライン上で、右クリックでメニューを表示し、「メディアオブジェクトの追加」から「カスタムオブジェクト」をクリックする。そしてカスタムオブジェクトの種類を「集中線」から「周辺ボケ光量」にかえる。設置する位置は、動画とかがあるレイヤーより下にする。

周辺ボケ光量の出し方

また、ここでは、「設定」から「縦横比補正」にチェックをいれる。

「設定」→「縦横比補正」

下の2枚の画像をくらべれば分かるとおり、「縦横比補正あり」のほうが四隅にフィットしていて良いかんじである。

縦横比補正なし
※あえて影の範囲がわかりやすい設定にしている
縦横比補正あり
※あえて影の範囲がわかりやすい設定にしている

★この記事では、つぎの画像のように設定した。

「光量」を100以上にして、四隅を明るくしている。「ボケ」をあげて、がっつりボケるようにして、光が散乱しているかんじを表現している。また、「境界」をデフォルトから下げて、範囲を小さめにしている。

※周辺ボケ光量の挙動がおかしい場合は、
この動画を参考に、AviUtlが受けいれる画像の最大サイズをあげる必要がある。

・フレームバッファ(デフォルト)

フレームバッファをつかうと、それより上のレイヤーにある諸オブジェクトを一枚の画としてとらえ、全体にエフェクトをかけられる。このフレームバッファをもちいて、トーンカーブを設定していく。

フレームバッファを出すには、拡張編集タイムライン上において、右クリックでメニューを表示し、「メディアオブジェクトの追加」から「フレームバッファ」を設置する。設置する位置は、動画・周辺ボケ光量とかがあるレイヤーより下にする。

フレームバッファの出し方


・トーンカーブ(in 色調調整セット)

本題のトーンカーブに入ろう。

トーンカーブをつかえば、画面において、暗いところだけ青味を出したり、明るいところだけに赤味をだしたりできる。この理解は正確ではないが、そんな感じに理解していれば、つかう上では大丈夫。※下側にちゃんとした説明を書いた。

GIFをつかい説明する。下の画像のように、だんだんと黒(暗)から白(明)になっていく画像を用意してみた。

たとえば、トーンカーブをつかい、暗いところを赤色、明るいところを緑色にしてみる。

GIFをみて分かるとおり、赤のカーブの左側、緑のカーブの右側を上にあげている。それぞれ3つのカーブにおいて、左側は暗いところを、右側は明るいところを操作できるカーブを上にあげればあげるほど、色味がつよくでる。

もう一例みてみよう。今度は、暗いところを紫色、明るいところを黄色にしてみる。そのためには、赤+青(=紫)のカーブの左側、赤+緑(=黄)のカーブの右側を上にあげる。

さらにもう一例、暗いところを「明るく」してみる。明るくするということは、言いかえれば、白味をだすということだ。そのためには、赤+緑+青(=白)のカーブの左側を上にあげてやる。

同じぐらい上げられてやれず、色味が残ってしまっているが・・・


これでトーンカーブのおおまかな働きは分かっていただけただろうか。先にも言った通り、自分でいじって直観的に理解することが大切だ。

では、実際にトーンカーブをAviUtlでつかってみよう。①フレームバッファ上のアニメーション効果の簡易トーンカーブ、②カスタムオブジェクトとしての簡易トーンカーブ、の2つが必要だ。

まず、さきほど置いた①フレームバッファに、簡易トーンカーブをアニメーション効果としてかける

フレームバッファにアニメーション効果としてかける

つぎに、②カスタムオブジェクトとしての簡易トーンカーブを設置する。カスタムオブジェクトの配置の仕方は「周辺ボケ光量」とおなじ。これによって、操作用のカーブが出てくる。カーブを操作するようのハンドル(点線の〇)は、このカスタムオブジェクトを選択しているあいだだけ表示される。

この記事では、つぎの画像のように設定した。

おおまかに言って、カーブの左側(暗部)については、緑+青(=エメラルドグリーン)のカーブをあげている。さらに、赤を下げて、さらにエメラルドグリーンを強調している。

カーブの右側(明部)については、全部下げている。グロー系の効果をつけたときに、この操作を行うと、かっこいい結果が得られる。しかし、赤のカーブはあまり下げず、赤味を残している。

このカーブをコピーするには、カスタムオブジェクトのほうのトーンカーブの「設定」を開き、「カーブ」の欄に、呪文「{-266,78,-208,-14,-110,-74,-94,34,-4,-6,100,-82,100,36,196,0,292,-62}」をコピーする。

{-266,78,-208,-14,-110,-74,-94,34,-4,-6,100,-82,100,36,196,0,292,-62}は分解すると、
R1(-266,78) R2(-208,-14) R3(-110,-74)
B1(-94,34) B2(-4,-6) B3(100,-82)
G1(100,36) G2(196,0) G3(292,-62)
であり、それぞれのカーブにおけるハンドル(点線の〇)の座標をあらわしている。
ただし、各カーブの領域における左下が(0, 0)、右上が(255, 255)である。

さいごに、トーンカーブを見えないようにする。カスタムオブジェクトのほうのトーンカーブで、「カーブ表示」のチェックをはずす。

完成

トーンカーブと周辺ボケ光量だけで、かなりいい感じのものができた(自画自賛)。原理が分かっていても、トーンカーブはけっこう調節する必要があるので、がんばって使いこなせるようになろう。


補論:トーンカーブをちゃんと理解する


トーンカーブでは、各ピクセルに割りあてられた色成分(Ri, Gi, Bi)を、トーンカーブがつくる関数R(x)・G(x)・B(x)で飛ばした(R(Ri), G(Gi), B(Bi))に置きかえている

たとえば、ある色(R, Gi, B)=(10, 30, 20)は、トーンカーブR(x)=2x、G(x)=0.5x、B(x)=3xで飛ばすと、(R', G', B')=(2×10, 0.5×30, 3×20)=(20, 15, 60)という色に置きかえられる。

例のイメージ図(拡大推奨)


AviUtlでトーンカーブをおいた段階では、それぞれのトーンカーブが斜め45度の直線になっていて、色が変わらない。それは、それぞれの関数がR(x)=x、G(x)、B(x)=x、つまり、「あたえられた値をそのまま返す」関数だからなのだ。

付録:トーンカーブのバリエーションと値

再現してほしい色調があれば@aaa__5sに連絡してくれると追記します。

{-286,44,-200,0,-96,-44,-94,34,0,0,104,-48,114,38,196,-14,286,-68}
{-280,80,-200,0,-120,-80,-82,52,2,-4,80,-80,106,52,194,-4,280,-80}
{-272,42,-200,0,-148,-86,-68,80,0,0,60,-88,102,32,200,0,280,-76}


{-280,80,-200,0,-164,-90,-80,80,0,0,80,-80,112,26,200,0,280,-80}


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